2017年9月12日
――なぜ、カンボジアで唯一、サミットへ参加する企業家に選ばれたのだと思いますか
エリダ・キムスルン(以下、エリダ) サミットは私にとって非常にいい機会で、世界中から700人の企業家たちが選ばれ集まっていました。選ばれたのには2つ理由があると思います。1つ目は、我々の会社がクリーンエネルギーを促進していること。2つ目は、リーダーシップやマネジメントに長けていることです。
例えば、我々が取り扱っているリンナイの給湯器は、ソーラー発電でつくったエネルギーを使います。これはクリーンエネルギーです。カンボジアでも、確かにグリーンプロダクトはありますが、価格も高いですし、政府のサポートも制限があり、多くはありません。例えば、他国では政策として政府がサポートしているため、大きなプロジェクトでも導入が可能です。カンボジア人も興味がある方は増えてきてはいますが、やはり価格やメンテナンスを気にします。ただ、今は普及している最中であり、すぐに100%を目指すのではなく、時間をかけたいと思っています。
マネジメントに関しては、建設業界で長く培った経験に基に、スタッフ全員に教育をしています。
――サミットで印象に残ったことを教えて下さい
エリダ シリコンバレーでは終日、みっちり投資家や企業家と打合せや会議でした。中でも、世界の企業家たちがどうやって成功したかを聞けたことは、これからの知識となり、参加した意義がありました。
また、Facebookやグーグル、Linked inの創業者やアメリカの政治家がさらなる成長を後押ししてくれたもの大きかったです。他社から抜きんでた会社になるためには、『革新』、そしてお金を稼ぐことにフォーカスするのではなく、国や社会、地域にインパクトを与えることが大事なのだと学びました。非常に価値のある時間でしたね。
――世界と比べて、カンボジアの企業家に必要なことを教えて下さい
エリダ 今、カンボジアには若い企業家が増えており、たくさんのビジネスを起こしています。彼らはエネルギーや意欲に溢れていますが、しかし感じるのは、似たようなレストランや同じ業態のお店など、コピーされたビジネスが多いということです。
わたしが見聞きしたような国、とくにアメリカでは、新しいビジネスへの意見やソリューションを求め、それを助ける土壌があります。例えば、馬鹿みたいに思えるようなアイデアでも、情熱をもって取り組み、成功を収めている。カンボジアは、しっかりとしたマーケットリサーチが機能していないため、まだ新しいアイデアやビジネスにトライできるような環境ではありません。我々はもっとプランを練り、リサーチから始める必要があると思います。
――カムコナの強みを教えて下さい
エリダ 我々は、世界的にも有名なブランドを取り扱っており、高品質かつお客様へのきめ細かなサービスを特徴としています。加えて、専門分野に対してプロフェッショナルであることが強みですね。我々の思うプロフェッショナルとは、お客様が何を求めているかを伺い、その解決方法をご提案すること。そのアドバイスが世界に通用するレベルであることです。
また、我々にとってはお金を稼ぐことだけが目的でないため、製品のメリットはもちろんデメリットやどんな利益をもたらすかを伝え、お客様の意思決定ができるようお手伝いします。
今は2つのショールームで、従業員は30人。当初は5人だったので3年で6倍ですね。かなり成長しています。リンナイからスタートし、現在は照明器具、建設機械や床材、電力装置などを取り扱っています。
――主力製品について教えて下さい
エリダ
1、RINNAI 電気温水器(日本)
2、LIGMAN 照明(タイ)
3、IMER 建設機械、散布装置、ベルトコンベア(イタリア)
4、PERGO フローリング材(ベルギー)
5、HiLTI 電力装置、接合器具(ドイツ)
今力を入れている製品は上記5つです。カンボジアのお客様の需要を満たすため、もちろん新しい製品にも間口を広げたいですね。加えて、新規ビジネスや工場設立などのジョイントベンチャーの案件も歓迎しています。我々の専門は建設ですが、可能性があればそれ以外の業種にもオープンです。
――カンボジアの建設資材業界の展望について教えて下さい
エリダ これまでの5年間もそうですが、今後5年間も建設資材の需要はますます高まるでしょう。今あるプロジェクトでも供給が足りていない状態ですから。しかしそれ以降は次回選挙によるところが大きいですね。ただ現政権は、経済の安定を推し進めようとしており、政策策定にも非常に意欲的です。今後もより良い環境になることを期待しますね。
――カンボジアの建設資材業界の問題点を教えて下さい
エリダ 建設資材でいうと、品質保証の制度などがないことですね。あとは人材です。現在は、スタッフからの紹介や人材会社から採用を行っていますが、人材もまだ限られています。またこれは、建設業界に限ったことではありませんが、ビジネスにおいて公平性を欠いています。輸入の際に賄賂を求められたりするなど、まだ一般的ですね。
――ホットトピックスはありますか
エリダ 今中国からの投資により、沢山の大プロジェクトが動いていますが、しかし彼らに製品を売ることは難しいです。彼らは人も資材も自分たちで輸入しますから。韓国や日系企業とは仕事をしていますが、中国企業から仕事を得るのは難しいですね。
――最後に読者へメッセージをお願いします
エリダ タイなどでもそうですが、日本企業が途上国へ来ると、国の開発がより良い方向へ進むと聞きます。ぜひたくさんの日本企業にカンボジアにきて頂きたいですね。我々の扱っている製品は高品質で、サービスやメンテナンスともに日本の皆さまにも満足して頂けると思います。また、JV設立などにも我々はオープンです。日本企業はレベルも高く、取引も誠実のため、皆さんと仕事ができるのを楽しみにしています。(取材日/2017年2月)