2016年7月18日
――会社とご自身の経歴を教えてください。
チア・パラリン(以下、チア) はい、私の名前はチア・パラリンと言います。アムレットのCEOで、弊社では1995年から働き始めました。1997年にジェネラルマネージャーに、2000年から2014年まで14年間ボードメンバーを務め、その後現職に就いています。
アムレットとしては、フランスのNGOとして始まり、1991年貧しい人々にお金を貸したのが事業を開始したきっかけです。当時のカンボジアはそれが出来ましたからね。その後人口増加と共に小口融資の需要が高まり、1995年に事業として安定してきました。それから農業者向け融資など積極的に拡大を行い、2000年に法人化、それから2001年5月にNBCからライセンスを受けました。
当初は4~5州でしたが、カンボジアの経済発展に伴い今では25の州に対応しており、マイクロファイナンス事業としては成功していますよ。2009年には預金ライセンスも取得しました。現在カンボジアには56社のマイクロファイナンスがありますが8社しか預金業務を許されていません。弊社は融資額4億5000万ドル、預金額2億4000万ドル、その内15%はローカルのお客様で占めています。
――最近のホットなトピックを教えて下さい。
チア 2015年に携帯電話を使ったサービスを始めました。どこにいても現金の出納が可能なモバイルテラーサービス、より幅広く対応出来るモバイルバンキングサービスです。モバイルバンキングサービスでは、口座開設、預金の預入れ・引出しはもちろん、預金がこの金額を超えた、いくら引き出された等、収支のバランスや預金額の推移がお客様宛に連絡が入るんですよ。それら全てがスマートフォンで出来るようになりました。モバイルサービスはカンボジア全土で幅広く利用されており、ほとんどの企業も自社で開発したソフトを使用し行っていますね。
また、中小企業向け融資も増えていますよ。通常のマイクロファイナンスと比べ融資額が高く、5万ドルだった上限が現在は7万ドルに上昇しました。
――マイクロファイナンスについてはかなり伸びていますが、不良債権へのリスクについてはどう思いますか?
チア そうですね。不良債権率については年々上昇し、投資家や資本家からも心配の声が挙がっています。不良債権を少しでも回避するためには、経営トップ陣が細かい部分まで把握する必要がありますね。行内でのオペレーションやどの産業が成長しどの産業が衰退するかまで。そして現場レベルでもスタッフ1人1人の教育やトレーニング、責任感を持たせるなど、お客様とのコミュニケーションを密にし、お客様の資金需要や目的、適正な融資額を見極めることが重要になってくるかと思います。(取材日/2016年3月)
(次回へ続く)