2015年6月10日
――CEOになった経緯や会社設立の経緯を教えてください。
スザンナ・コーグラン(以下、コーグラン) 私はアイルランド出身で2004年に初めて夫とカンボジアに来ました。カンボジアで初めての仕事は教育関連団体での仕事でした。1年間ほど電気や携帯もないような田舎で暮らしの後、翌年プノンペンに引っ越し、教育関係団体のボランティアをしていましたが、AAAの立ち上げの話を知人から聞き、合流することになりました。2007年に準備を始めましたが、企業向けの人材育成プログラムを提供する会社としてはカンボジア初でした。
この会社は2007年に設立されましたが現在設立当時の主要メンバーは残っていません。当時は人材募集と人材開発を行っていましたが、後に人材育成一本に絞りました。以前のメンバーが抜けたため私が代表となりました。
人材開発はハード部分とソフト部分があり、特にソフト部分には時間がかかります。精神改造だったりリーダー育成は通常業務の合間に行い、コーチングや集中講義、ロールプレイを組み合わせて計画していきます。会社によっては2日しかありませんと言われれば、それに対応するしかありません。我が社としてはコマ分けをして、3時間程度の講義構成で時間をかけて行うことを勧めていますが、基本的には企業の要望に左右されることが多いです。
期間も数日から数か月と企業によって異なります。最近の契約では大きな会社で、1年かけて全従業員のトレーニングを依頼されたものもありました。企業の予算も様々で、これらは全ての準備、アセスメントとフォローアップを入れての費用になります。例えば、今集中して取り組んでいるフューチャーリーダープログラムというものは3か月間、70時間で座学からロールプレイまでと幅広い内容です。費用は1人当たり$1500の設定になっています。20名以上での開催でこの価格で実現しています。それ以下は別途加算があります。
現在、人材開発プログラムを導入している企業は一定の規模に成長したところが多いです。一定の規模になると人材がカギになってくるので、そこに投資をするようになります。企業のバックグラウンドも様々な国籍がありますね、近年はローカル系の企業の人材開発意識も高まっています。
―――人材育成はキャッシュポイントが少なくマネタイズが難しいと思いますが、どのように対応していますか。また費用は誰が負担していますか。
コーグラン カンボジアでは様々な形の人材育成があります。一般的なのはオープンコースと言って特定のコース(エクセルやPCスキル、語学等々)を提供し、受講者個人あるいは企業が費用を支払うものです。我が社ではそのようなものではなく、オーダーメイドで企業研修や人材開発を提供しています。マネジメントであったりコミュニケーションであったりリーダーシップについてですね。
ターゲットが個人ではなく企業になりますので、費用は企業負担になります。課題は先ほども申しあげたように未だ多くの企業が人材開発を企業の資産としてではなくコスト増大の要因として考えているところが多いので、人材開発への十分な投資を行う企業が少ないということです。特にローカル企業ではその傾向が強くなります。良く言われるのが、そこに投資をするのは良いが、すぐやめて他に行ってしまうという点です。私もその言い分はわかりますが、では従業員が辞めずに残ると考えればどうでしょうか?と申しあげるのです。要は企業側の考え方の転換も重要ですね。(後編へ続く)(取材日/2015年3月)