2016年9月30日
(前回の続き)
――働きながら大学に通うカンボジア人は多く、学ぶ意欲は感心する一方で、果たして大学に人材を育成する能力があるのか疑問に思っている企業も多いと思います。それについてどう思われますか
スザンナ・コーグラン(以下、コーグラン) 確かに、カンボジアでも大学を卒業する人は増えましたが、他国と比べると教育レベルもまだ低いですね。それは大学以前の教育レベルがまだ低く、それぞれの学校で異なったカリキュラムを行っているのが原因です。そのため教育省も、最終テストをパスしなければ卒業出来ないなど対策をしていますが、それもまだ時間はかかるでしょうね。
ただ、この国のスキルレベルはまだ低いですが、私が会社を立ち上げた9年前に比べると確実に上がっており、かなり変わりましたよ。学校を卒業したばかりで働いた経験がない人達も、コミュニケーション力上昇のトレーニングを受け、銀行の窓口業務や電話オペレーターなど、職務をしっかりこなしています。
職務経験がないスタッフと実際の業務のギャップを埋めるのに、トレーニングや研修は役立つと思いますね。まだ時間はかかるかと思いますが、ただ、最近の教育省の動きはとても積極的なのでポジティブに見ていますよ。
――人材という観点で、1年前と比較するとどのような変化が起きていますか
コーグラン 驚くほど人を採用したり、逆に解雇したりなどの特に大きい変化はありませんね。ただ、様々な国からの企業進出が増えているのを感じており、その点で将来はポジティブですね。
仕事において、その国で求められるレベルとカンボジア人スタッフのレベルのギャップを埋めるのが我々の仕事です。3年後、会社としてどうなりたくて人材に何を求めているのか。きちんとヒアリングしてその会社に合わせたプログラムを作っています。
――企業として、人材を育成する上で気にすべき点は何でしょうか
コーグラン その企業が何を大事にしていて、どこを伸ばしていきたいかなど、企業文化が重要だと思います。例えば、お客様との関係性づくりを伸ばしたい企業であれば、コミュニケーション技術のトレーニングを行います。そこで働く人々は会社文化を映す鏡のようなものですからね。研修でも効果的に目標にアプローチすることが出来ます。
――最後にメッセージをお願いします
コーグラン カンボジアは悲しい歴史のある国です。プノンペンでも周りを見渡すと、若い人々が多くいますよね。そんな人々を育てるため、こちらでビジネスをするのであれば、たとえ小さな規模であっても、人材開発にはある程度の時間とお金をかけた方がいいと思います。(取材日/2016年5月)