TOP INTERVIEW
トップが語る、カンボジアビジネス(2014/9発刊1号より)
ANZ Royal Bank(Cambodia)Limited
ANZロイヤル銀行
Chief Executive Officer / CEO Cambodia, Laos & Myanmar, ANZ Banking Group
グラン・ナッキー
1970年生まれ。ニュージーランド出身。2012年に来カンボジア、ANZロイヤル銀行カンボジアCEO就任。ラオス、ミャンマーのCEOも兼任している。オーストラリアン・ビジネスアソシエーション・カンボジアで二つのリーダーを務める。仕事以外では早朝ランニングやゴルフを楽しみ、スタッフによればダンスやカラオケもうまいと評判。日本食も好み、好きなメニューはまぐろの刺身。
オーストラリア四大銀行の一角を占め、ニュージーランドでは最大の金融機関として名高いオーストラリア・ニュージーランド銀行。2004年、大手財閥ロイヤルグループとの提携により、ANZロイヤル銀行はカンボジアでの業務を開始した。ニュージーランド、シンガポール、中国などアジア各国を経てカンボジアへ。
CEO、グラン・ナッキー氏の言葉からはアジアに対する思いがにじんでいた。
銀行員としてのスタート
銀行員の父を持ち、幼少時代から転勤を経験してきたグラン・ナッキー氏。18年を銀行員一筋に生きてきた。
私は大学時代までをニュージーランドで過ごしました。卒業と同時にANZグループに入行し、銀行員として働き始めました。最初に配属されたのはトレーディング業務を行うディーリング部門で、簡単に言うとトレーダーなんですね。大学での専攻は経済学と法学でしたし、全くと言っていいほどなじみのない仕事です。
というのも、トレーダーの多くは学位が必要ないのも一般的ですし、近年はようやく大卒者の採用も始まっていますが、当時はアグレッシブな人間の仕事というイメージでしたね。不慣れな環境もあり、とても優秀だったとは言えませんが、かなり勉強はしました。結局5年間トレーディング業務に携わってきましたが、学ぶべきことばかりでしたね。その後は、起業に対する経営アドバイスなどを行う部署に配属され、後にその部署を任されました。
そして、より専門的な勉強をするためにアイルランドのダブリンでMBAを取得しました。この時の経験は、私の人生の中でも一番と言っていいほど重要なものだったと思います。たくさんの素晴らしい人たちに出会い、学問的にも個人的にもたくさんのことを学べた時期でした。また、二つの視点を得られた時期でもあります。
一つはヨーロッパ経済が抱えている多くの問題に対してのもので、もう一つはアジア経済の可能性についての視点です。アジア経済のこの10、20年での可能性は眼を見張るものがあると思ったのでアジアでの仕事を探し求めることにしました。当時SARSの流行もあり、MBAの人材登用も少なかったのです。その時にANZ時代の上司から連絡があり、シンガポールに席があると誘われ、ちょっと考えていた路線とは違いましたが、アジアですし良い機会だと思い快諾しました。
アジア各国を経てカンボジアとの出会い
アジア14か国の全てのブランチでの経験を持つ。業界につきものの転勤も苦ではなく、むしろその変化を楽しんでいるようだ。
5年間のシンガポール勤務ではまず三つの部署で勤務し、その後3年間は経営企画室に在籍しました。国内での異動がとにかく多かったですね。銀行業とアジア地域について深く学んだ時期です。
その後香港では再びマーケット部門に参画し、日本、中国、韓国、台湾などを含む北アジアのビジネスを学び、中国本土での銀行業務も経験しました。そして、カンボジアに来たのが2年と少し前です。カンボジアだけでなくラオスやミャンマーも見ることができて、とても興味深い2年間ですよ。
プノンペンはとても生活がしやすいと感じています。小さな街ですが国際化も進んでいます。最近ではとてもよいレストランやバーなども増えてきましたし、小さな街なので人々もコミュニケーションがとりやすく、良い関係を築けていると思います。仕事の面でもとても興味深い国です。政治はもちろん、経済の変化も興味深いことが多いです。たくさんの投資案件が進行していますし、政府の動向も見逃せません。今まさに熱い国だと思います。目まぐるしい変化が私は好きですね。