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TOP INTERVIEW
トップが語る、カンボジアビジネス(2018/5月発刊8号より)
カンボジアが好きだ、と思う情熱こそが何よりも大切 (2/2)
top interview

バックパッカーとして訪れたカンボジアの地に可能性を感じ、本格的に仕事をしようと移住することを決意した27歳の青年は、今やDFDLのトップとして東南アジアの国々を法律面から支える仕事をしている。カンボジアで14年間走り続けてきた彼が振り返って語る、カンボジアで働く良さ、ビジネスの成功の秘訣とは。

カンボジアが”ホーム”になる瞬間

長年住んでいく中で変わっていった印象とは

 急速に発展していったカンボジアも、私が来た当初は地方との接続が悪く不便な面も多くありました。当時はカンボジア北東部にあるラタナキリ州も陸路で完全に繋がっておらず、古いロシア機で飛ぶしかありませんでした。それも月曜と水曜しか飛ばなかったので水曜の便を逃すと5日間滞在する羽目になったんです。陸路で行くにも2日かかったので皆飛行機を利用していました。今はその状況も改善され生活しやすくなりましたが、昔はこのような不便な面が多くありました。
 そんな接続が悪かったカンボジアですが、ある日、出張先から帰国したときに「家に帰ってきたな」と思う一瞬があったのです。その瞬間からここが私の“ホーム”になったように感じます。長期滞在している人の多くがその瞬間をどこかで迎えると思いますが、私は比較的早い時期だったように思います。恐らく来て1年か2年くらいでカンボジアに居るほうが心地よいと感じるようになりました。
 カンボジアは国としても、プノンペンは町としても比較的小規模です。ですが、そのサイズ感もまた心地良いと感じ始めるようになりました。このスケールだからこその発展もあるでしょうし、人同士の強いコネクションがあるように思います。

これからの飛躍へ向けて

 仕事の面ではこれからも拡大していきたいです。ASEAN域内を超えたもっとグローバルな活動を。クロスボーダーで仕事をしているチームもありますが、外から来る大きな投資をASEAN域に呼び込むことが目標です。現在は日本、だんだん増えてきた中華系、今後はインドやヨーロッパもつなげていきたいと考えています。フロンティアマーケットを開拓する精神でグローバルに繋がっていきたいです。フランスとカンボジアは交流の歴史も長いので交換できるものも多いですし、欧米の良き面をカンボジアに紹介していきたいなと思っています。

カンボジアでの成功の鍵

 個人的に大きな困難に直面したことは少ないですが、自分の経験と周りの人を見て思うのは、困難を回避するための備えをすることが一番重要だということです。最初来たときカンボジアはオープンで自由な国でした。それを目的に訪れる人も多かったのですが、それは当然リスクを伴うものです。
 欧米に居たら当たり前に行う保険の購入や法令の遵守も怠り、無保険で来る旅行者も多かったです。カンボジアに来て自由に羽根を伸ばした故に、事件や事故に巻き込まれる人も少なくはありませんでした。私が考えるのは、困難を回避するために大切なことは、国の文化を知ること、どこにいるかをよく考えること、そして国のルールを知りきちんと守ること、カンボジア人のメンタリティを学ぶことです。これらを踏まえて、自由でノーリミットな環境ではないことをきちんと理解することが必要だと思います。
 カンボジアは競争の激しい環境でもあります。莫大な時間をかけても、チャンスをするりと逃してしまうこともありますし、常にアンテナを張っていないと逃す仕事も多いです。自分でビジネスを開いてる場合は別ですが、競争の結果、外国人として最適な仕事に就けることも楽ではないかもしれませんし、キャリア形成も難しいでしょう。

大切なのは、情熱を持つこと。

 カンボジア進出において重要なのはコミットメント(情熱)です。事前調査も重要ですが、長期的な目標や計画を立ててリスクマネジメントをすることが大切だと思います。カンボジアの環境を知り、文化や人の精神を学び、情熱を持った上で長期的になることを覚悟してプロジェクトに取り組むことが必要です。ヨーロッパの投資家はそれを細かく行っている人が多いです。
 また、カンボジアの接続性が増した事により昔に比べて足を運ぶのも簡単になったので、よく計画されたプロジェクトの完遂の保障があれば関わる人材や投資は呼び込めるでしょう。ですが、何よりもまずカンボジアのことを好きだと思う情熱を持つことがチャレンジする上で何よりも大切です。逆に言えば、カンボジアのことが好きだと思えないならチャレンジすることすら無駄になるでしょう。その気持ちがあれば長期的なプロジェクトに取り組む情熱が自然と湧いてくるはずです。

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DFDL
Managing Director
ギヨーム・マッセン
Guillaume Massin

フランス出身。カンボジアを旅行で訪れた27歳の時に、移住し働くことを決意。フランス政府からカンボジアに派遣され国家規模の法務関連プロジェクトに携わる。その後DFDLと合流し、東南アジア各国で幅広く法律関係の協力案件や技術協力を行う。


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