観光省内は大臣以下32の部局に分かれており、それぞれの部署が各種観光に関する業務を行っている。比較的身近な例を挙げると、旅行者向けのインフォメーションセンターなどがあるが、その他には宿泊施設や旅行会社の許認可セクション、観光地を世界に向けて紹介する広報マーケティング部、国内観光イベント部、対幼児買春などの部局、観光学の教育や、市民への啓もう活動などを行う部署、観光産業施設の基本的な底上げを目指し、宿泊施設や飲食店の衛生や安全性のスタンダード確認を行ったりする部署などがある。
また、観光に関する案件でも、観光省内だけではなく他省庁と関連する開発案件や事案などもある。例を挙げると空港再開や
高速道路建設による国内交通インフラの発達。国際港の開発によるクルーズ誘致、特定の国に対するビザの緩和などもある。
観光省は観光開発や観光分野の投資を歓迎しており、様々な案件に対して柔軟に対応している。例として日系の宿泊施設を挙げると、2015年には東横イン、2018年には4星ホテルのエミオンがオープンし、2022年にはニッコーホテルプノンペンがオープンすると発表された。
また、観光以外の分野に関しても、外資100%で行える事業も多く、他の東南アジア諸国と比べて、比較的容易に事業を始めやすい環境となっている。
なお、長期ビザは2、3年前までは1年につき280$程払えば、特別な審査もなく1年間の長期ビザが発給されていたが、外国人滞在者によるトラブルの増加と相まって、在職証明書や労働許可証の提出などの提出が必要となっている。
観光省は毎年観光統計レポートを発行している。コンテンツには1993年からの外国人旅行者総数変動グラフ、月別訪問者数、国籍別訪問者数とランキング、訪問エリア別訪問者数、入国地別訪問者数、一人当たりの旅行支出(宿、食事、買い物など)、性別、年齢、訪問目的、職業、観光の動機、団体旅行か個人旅行か、州別訪問者数、宿泊施設総数と部屋総数、言語別ガイドの数、飛行機の運航数などとなっている。
この統計を読み解くことで、自分がやりたい事業がどのエリアでなら可能性が高いか、ターゲットはどういった層が適切か?などが分かってくる。例えば、飲食店をやる場合、陸路で訪れる旅行者(多くはバックパッカー)と空路で訪れる旅行者(金銭的に余裕のある旅行者)の数、訪問先、1食あたりにかける予算、1日あたりの訪問者数、月別の渡航者数の変動などをチェックし精査するだけで、カンボジアで展開しようと考えている事業の可能性が見えてくる。
この観光統計レポートは、毎年6月頃に前年度分が発行されるため、観光関連の事業での進出を検討されている方は是非手に入れてほしい。また、レポートの公表後はウエブでもダウンロードが可能となっている。
カンボジア在住歴15年、旅行会社、出版社、宿泊施設運営などずっと観光業に携わっており、現在はJICAシニアボランティアとしてカンボジア観光省プロモーション&マーケティング部アドバイザーとして配属されている。主な業務はカンボジアへの日本人観光客、視察、学生ツアーなど誘致、広報活動などとなっている。高知県出身、45歳。