カンボジア北西部、タイとの陸路国境の街ポイペト。古くよりタイとカンボジアをつなぐ交通の要衝として多くの多くの人が旅や行商のために行き交い、大量の物資が流通する陸路交易の交錯点として長く栄えてきた。一方、タイ国境とカンボジア国境に挟まれた「不思議な空間」にはいくつものカジノホテルやレストランが林立し、カンボジア領に属しながらも実質タイ経済に占拠された猥雑な歓楽街の様相も呈する。
カジノと国境交易で栄えてきた混沌の街ポイペトが今、「タイ+1」を狙う製造業にとっての新たな生産拠点として脚光を浴び始めており、その原動力となっているのは日系製造業の果敢な進出だ。清濁合わせ飲む陸路国境のカオスからアジアの工場として脱皮できるのか、今その過渡期にあるポイペトの現状に迫る。
カンボジア首都プノンペンから北西に約400Km、タイとの陸路国境に接するポイペトは、カンボジア北西部バンテアイミンチェイ州に属する人口10万人ほどの小さな街である。同じくタイ国境に接するパイリン市や蟹料理で有名なリゾート地ケップ市のように、州と同格の特別市に昇格してはいないものの、古くからタイとカンボジアをつなぐ陸路国境の要衝であり数多くのヒトやモノが混沌と行き交う交錯点として、また域内に9つのカジノホテルを擁するギャンブル中心の盛り場として、カンボジア在住者や関係者の間では一定の知名度を有する街となっている。
日本人にとって、ヒトやモノの行き交う雑踏感や混沌とした雰囲気に、極めて特異な空気を感じざるを得ないことだろう。
特に他の陸路国境と比べてもポイペトは極めてユニークなエリア構造となっている。国道6号線からポイペトの街に入り西へ直進したまま国境に近づくと、小さなロータリーの先にまず出入国審査窓口(いわゆるイミグレ)が見えてくる。そのイミグレの先には大きなカジノホテルがあり、タイ側の国境の街アランヤプレテートに入るイミグレは更にその先にある。両国のイミグレの間にあるこの“不思議な空間”に、カジノホテルやレストラン、ローカル屋台が密集している状況となっている。タイに入国するわけではなく、それらのカジノやレストランに行く用事がある人は、カンボジア側のイミグレを何もせずに通過できる。カンボジアを出国するわけではないからだ。
イミグレ窓口にいる役人もわざわざ行き交う人々を呼び止めて行き先確認をすることはない。この空間は形式的にはカンボジア領に属しているため、カンボジアから入る分には何の問題もない。 が、カンボジア国民は法令で国内賭博行為を禁止されているため、彼らがカジノを楽しむことは法令上不可能だ。一方、国内で賭博を禁止されているタイ人にとってポイペトにあるカジノエリアは“外国”となるため、彼らは合法的にカジノを楽しむことが可能だ。
さらに違和感を覚えるのは、この空間にあるカジノホテル内ではタイの通貨であるタイバーツしか使えないことだ。カンボジア国内では自国通貨のクメールリエルの外に、流通通貨として米ドルが使用できるが、ポイペトのカジノホテル内の施設ではクメールリエルも米ドルも基本的には使えない。よって、例えば人と会うためにカジノホテル内のカフェで少しお茶をした場合、手元にタイバーツが無ければ、少額のお茶代の支払いすらできないことになる。ポイペトのカジノホテルはタイ人をターゲットにして運営しているからなのか、カンボジア領内でありながら自国通貨も米ドルも使えない、という不可思議な状況となっている。
形式的にはカンボジア領内でありながら実質的にはタイ経済圏となるこの「不思議な空間」によってイミグレ等の制度運営も極めてファジーに映ることから、多くの来訪者に雑然とした印象を抱かれる国境の街ポイペト。
ここが最近注目を集めているのは、その混沌としたカオスが放つ妖しげな魅力よりも、急激に大きくなってきている陸路貿易物流の要衝としての存在感による。
昨今その存在意義そのものが厳しく問われている日本の農協は、戦前から戦後、そして高度経済成長時代、日本の農業発展に大きく貢献した農業組織でした。GDPの3割を占めるカンボジア農業の現況は、まさに農協を必要としていた当時の日本の農業の姿と重なります。
JCGroupは2008年創業以来の主要事業であるカンボジア農業に日本の知見・ノウハウを導入、「古き良き日本型農協」の機能をカンボジアに実現させ「Made by JC(Japan & Cambodia)」によるカンボジア農業の産業化に貢献することを目指しています。
http://jcgroup.asia/
早稲田大学政経学部経済学科を卒業後、日本の大手監査法人、戦略コンサルティング兼ベンチャーキャピタル(一部上場企業 執行役員)を経て、2008年カンボジアにて「JCグループ」を創業。日本公認会計士・米国ワシントン州公認会計士。
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