ANZグループによれば、カンボジアの今年の国内総生産(GDP)成長率はEUへの衣料品輸出に支えられる形で、約7.2%になることが予想されており、2017年も安定して7.1%になると想定されている。クメールタイムズ紙が報じた。
ANZグループのアジア太平洋担当チーフエコノミストであるグレン・マグワイア氏は、「クライアント調査によれば、いくつかのクライアントがカンボジアの経済特区で操業開始しており、EU輸出用にハイエンドな衣料品を生産し始めている。EU向け輸出品に付加価値が付与されるため、このくらいの成長率がキープされると考えている」と述べた。
カンボジア商業省の発表によれば、カンボジアの衣類・アパレル産業からの今年第1四半期の総輸出額は、前年同期の15億ドルから39.1%上昇して約20億ドルだった。カンボジア縫製業協会(GMAC)によれば、衣料品総輸出の約45%をEUが占めているという。
マグワイア氏は、「衣料品生産で培ったスキルを利用し、他の産業・セクターへと多様化していくことが重要だ。現在のカンボジアはひとつの地域サプライチェーンに依存しすぎている」と主張した。
国際通貨基金(IMF)も今年のカンボジアのGDP成長率に関して、衣料品輸出の成長、不動産セクターの発展、石油価格下落に支えられて7%になると報告しており、これは政府予測の6.9%より0.1%高くなっている。
一方でIMFは、カンボジアの急速なクレジット業界の成長や不動産セクターにおける建設集中度合いの増加などの国内要因のみならず、中国の景気減速、欧州の成長鈍化、イギリスのEU脱退に伴う国際金融市場の動きといった、経済的・金融的安定性を揺るがしかねない外部要因についても懸念を表明している。