【医療・医薬】
カンボジアは、公的な健康保険制度は導入していないが、国民の労務災害などによる困窮を助けるため、NSSF(国家社会保険基金)が社会保険制度を運用している。従業員が8人以上の雇用者は基金へ登録しなければならず、月額保険料は月給の0.8%と低額だ。しかし、治療を受けられる病院は限られている。
一方、移住した外国人の場合、母国の医療費の補助を受けられないことがある。仮に住民票を残していても、還付申請の際の申請作業そのものが煩雑だ。また、海外旅行保険は航空機遅延の補償など移住者にとって不要な補償が含まれている分割高のため、期間の限定がなく移住する人にとっては、現地保険会社と契約するのが妥当だろう。
カンボジア人は経済的事情から、薬局で薬を購入して治療しようとする傾向が強い。しかし、薬学部を卒業していないスタッフが処方箋なしで医薬品を販売する薬局も多く、人々が適切な医薬品を入手できているとは言い難い。
保健省は2017年11月、抗生物質の過剰使用による薬剤耐性を防ぐために、医師の処方箋なしでの抗生物質の売買を禁止した。しかし、禁止措置の詳細や運用方法には言及しておらず、依然として販売を続ける薬局もある。近年は薬局の水準も徐々に上がってきているが、症状により適切な処方をしてくれる信頼できる医療機関を選びたい。