【建築・内装】
シハヌークビルには現在30万人の人口がおり、毎日8000~9000人の国内外の観光客が訪れているが、沿岸では大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルは、現地会社グランド・ライオン・グループと提携し、388室の5つ星ホテルを建設すると発表した。2022年1月の開業日を目指す。また、2億ドルをかけるゴールドコーストプロジェクトは、1.6ヘクタールの土地に、58階建の建物に住居物件を含む888戸の住宅を所有する計画だ。
スカイマウンテンビュー・インベストメントは2018年5月、1.1億ドルをかけて、12階建ての商業ビルと25階建てのホテルの建設を開始した。
香港上場企業のサンシティー・グループは、3.6億ドルをかけてシアヌークビルに統合型リゾートを作る。また、1ヘクタールの敷地に映画館を含む商業施設として、フーリエ・タイムズスクエア・モールの建設が始まっており、2019年9月に完成予定だ。
沿岸地域の管理・開発に関わる国家委員会(NCCAM)は2018年9月、プレアシアヌーク州の道路や下水道などのインフラを整備し、岩の多いビーチを砂浜にする建設計画を発表した。同州のユン・ミン知事によると、同州には現在リゾート施設が30とカジノが40あり、その大多数は中国の投資により建設されているという。同州における新たな観光産業への雇用機会と経済成長への貢献に期待がもたれる。
プノンペン近郊に位置するカンダール州には、開発会社7NGが2018年5月、777ヘクタールの敷地に「インテリジェンス&イノベーションシティ」と「ナガラプリシティ」と名付けられた2つの大規模な衛星都市を建設すると発表した。現在は開発の初期段階にあり、開発期間は10~20年と長期になると予測されている。
また、プノンペンから東に95キロ離れたプレイベン州の州都プレイベンに、中国に拠点を置くチヤンシーハイフイユーティリティー社が、300ヘクタール以上の衛星都市を建設すると発表した。
プレイベン州のさらに東に位置するスヴァイリエン州の州都バベットでは、エンパイヤーワールドグループアジアが大規模な衛星都市の開発を進める。開発の第一段階では、800ヘクタールのうち50ヘクタールの土地に建物を建設する予定だ。完成までおよそ15年がかかる見込みで、建設は始まったばかりだ。まず手始めに、建物の建設が始まり、556棟の建設に5億円が投じられる予定だ。
一方、カンボジア南部に位置するカンポット州の海岸地域には、ドバイ系のパラスグループが、「フレンチ・リビエラ・マリーナ」と名付けられた大規模プロジェクトに232億ドルの予算を投じて開発する予定だ。
さらに同州では、中国系投資会社が経済特区の建設を計画しており、深センやシンガポールのように変化を遂げることを期待していると現地メディア、サバイニュースが報道した。
カンボジアの不動産・建設セクターが20万人以上のカンボジア人を雇用するなど、雇用機会創出の牽引役となっているが、地方からの出稼ぎ労働者が多く雇用されており、収穫期でない時期には高報酬を求めて地方から首都へ大量流入し、収穫期になれば地方へ農業をしに戻るという。
建設中の非熟練労働者の賃金は建設ブームに追いついてない。プノンペンポスト紙の取材で2018年5月、カンボジアの木工労働組合連盟(BWTUC)のソク・キン会長は、「賃金は明らかに需要に追い付いておらず、政府の統計よりも低い」と述べており、同連盟によれば、肉体労働者が1日あたり1万6000~4万リエル(4ドル~10ドル)、平均3万リエル(7.5ドル)を稼ぐとしている。これはタイで1日当たりに稼げる10ドル~12.5ドルの賃金に比べて低い水準で、さらに、カンボジアの建設労働者には保険やその他の手当はないという。
また、建設労働者の技術力について、カンボジアでは、熟練技術者も非熟練労働者も、特に学校で学ぶ慣習はなく、師匠が弟子に教えるような形で、技術を学ぶことが多い。そのため技術レベルに一貫性がなく、基準も無いと言われる。
イオンモール2号店やシェムリアップの大型ショッピングモールの建設を手がけるSOMAコンストラクション&ディベロップメント(以下、SOMA)のチア・チャンダラCEOは、「カンボジアには熟練技術者がほとんどいません。例えば5~6年かかるような大掛かりのプロジェクトだと、カンボジアの作業員では経験がない。今は向上している最中ですが、海外から人材を雇う必要があります」と語る。
このような背景のなか、一部の企業や外国人投資家が自国の技術者や労働者をプロジェクトに連れてきている。カンボジアの橋や高層ビルを建設する中国企業は、十分な労働者が確保できないという理由により、中国から多くの中国人を連れて働かせている。