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2018年6月25日
カンボジア進出ガイド

【建築・内装】

237 カンボジアの建設・内装①(2018年5月発刊 ISSUE08より)

建設業界 The construction industry

 2018年1月16日に発表された国土整備・都市化・建設省の年次報告書によると、2017年には3052件のプロジェクトが承認され、その額は64億2000万ドルだった。これは前年の2405件、52億5000万ドルより増加している。経済財政省は、過剰供給と需要下落が原因により、建設部門の成長率が2017年には減速すると予測していたが、3月28日には2018年のカンボジア経済は7%成長すると発表した。世界銀行も、6.9%(シンガポールを除くASEAN9カ国の平均成長率は5.4%)の経済成長を予測し、建設・不動産部門に対する信用貸が急速に拡大している点を指摘した。世界銀行の東アジア太平洋担当チーフエコノミストによると、成長率の見通しは、国民議会選挙が計画どおりに行われ、経済が不安定にならなかった場合を前提にしているとし、建設ブームの脅威については、見通しの下振れリスクの一つとして挙げるに留めている。また、アジア開発銀行(ADB)も7.0%の経済成長を予測しており、カンボジアの経済は今後も好調だと言える。

国民議会選挙の影響 Election effect

 5年に1度開催されている国民議会選挙が、今年7月に開催される。前回2013年の国民議会選挙では、敗北した野党がデモを行うなどして抗議するなど政治的混乱の過去がある。こうした経緯から今年の国民議会選挙がカンボジアの不動産市場を停滞させる原因になると不安視する声がある。
建設会社、サプライヤー、不動産会社など60社以上が加入するカンボジア建設協会(CCA)が支援する建築業界専門誌、コンストラクション&プロパティ(C&P)のミース・プロックサー氏は、「市場における選挙の影響は僅かであると予想します。カンボジアへの投資を一時停止または延期する投資家を指して、選挙の影響だと指摘する人もいますが、それは一面的な見方です。実際はそのような単純な理由からではなく、様々な要因に基づくもの」と答え、杞憂に過ぎないとした。



 それを裏付けるかのように、不動産に関連する数値は現在も堅調に推移し、今後も見通しも明るい。CBREのレポートによると、コンドミニアムの供給は2015年にかけて22.4%増加し、2018年には実に794%増の1万9018戸が追加され、2018年末までに合計で2万1414戸となり堅調な成長を持続させている。また、複数の大型複合施設の開発プロジェクトもあるほか、ボレイと呼ばれる集合住宅の開発地域も徐々に首都郊外に広げながら多方で開発されている。それを示すかのように、需要の高まりから2017年初頭は1万本あたり180ドル前後だったがレンガの価格が、2018年に入り400ドルにまで上昇した。



 インフラについてイオンモール2号店やシェムリアップの大型ショッピングモールの建設を手がけるSOMAコンストラクション&ディベロップメント(以下、SOMA)のチア・チャンダラ氏は、「カンボジアはまだ開発途中であり、道路や橋、エネルギー供給の需要は高く、引き続き成長しています。政治的にも安定し、政府による税金の優遇措置もあるため、投資家はますます増えるでしょう」と語る。

需要と供給 Supply and demand

 先述した建設省の年次報告書について、プノンペンポスト紙の取材によると、カンボジア不動産協会(CVEA)のキム・ヘアン会長は、「この成長を歓迎するが、実際の建設金額は減少している。またライセンスを受けても、建設計画を実行するとは限らない。私の見立てでは、2017年の新建設プロジェクト数は2016年と2015年に満たなかった」と語る。建設省が公表する承認件数や投資額の大きさから供給過多との懸念の声が上がるものの、実際は開発の調整が行われていると思われ、現状は真に供給過多と言える状況までには至っていない。

 2008年に建設が停止していた42階建ての高層ビル『ゴールドタワー42』の建設も中国企業の手によって再開され、カンボジア政府からの強い要請を受け、2019年末までの竣工を約束している。

 また、台湾や中国で多くの実績を持つ台湾系不動産開発会社、和新建設社長のジョージ・シエ氏は、「カンボジアの不動産需要は今後も高まり続けると予想しています。アジアを見てみれば、台湾や中国、マレーシア人など、多くの華僑がよりよい生活を求め海外へ留学、駐在、もしくは移住をしています。そしてこれはどんどん増えます」と語っており、アジア諸国に点在する華僑の動向は注視に値する。特に、リゾート地としても有名な沿岸部の都市、シアヌークビルでは中国企業による不動産開発が活発だ。

 今の建設業界の業況についてSOMAのチア氏は、「家や建物でいうと、物件の品質管理や、自社で賃貸を行うなどのビジネス需要はすでに増えてきています。住宅は供給過多で需要が下がると言われていますが、低所得者~中所得者層向けの住宅需要は伸びており、成長は期待できるでしょう」と語る。


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