【医療・医薬】
カンボジアは、公的な健康保険制度は導入していないが、国民の労務災害などによる困窮を助けるため、NSSF(国家社会保険基金)が社会保険制度を運用している。従業員が8人以上の雇用者は基金へ登録しなければならず、保険料は月給の0.8%と低額だ。しかし、治療を受けられる病院は限られている。
一方、移住した外国人の場合、母国の医療費の補助を受けれないことがある。仮に住民票を残していても、還付申請の際の申請作業そのものが煩雑だ。また、海外旅行保険は航空機遅延の補償など移住者にとって不要な補償が含まれている分割高のため、期間の限定がなく移住する人にとっては、現地保険会社と契約するのが妥当だろう。
SICの野々村医師は、「海外では医療費を負担する制度が異なったり、海外旅行傷害保険に未加入だと、医療機関を受診するのを躊躇するかもしれません。最近、当クリニックでも日本人以外の患者さんが増えましたが、受診動機・タイミングは国籍・医療保険の有無などにより異なります。我慢することで症状が悪化し、逆に治療期間が長くなり、合計治療費が増加することも考えられます。さらに緊急時の連絡先も分からない旅行者や、感染症のワクチン未接種の長期滞在者も多いことから、以前よりも無防備な状態で海外に渡航する人が増えてきているのかもしれません」と話す。医療機関を利用する人が増えることで、患者側及び医療機関が共にレベルアップし、国全体の医療レベルが上がることとなる。
カンボジア人は経済的事情から、薬局で薬を購入して治療しようとする傾向が強い。しかし、薬学部を卒業していないスタッフが処方箋なしで医薬品を販売する薬局も多く、人々が適切な医薬品を入手できているとは言い難い。
保健省は昨年11月、抗生物質の過剰使用による薬剤耐性を防ぐために、医師の処方箋なしでの抗生物質の売買を禁止した。しかし、禁止措置の詳細や運用方法には言及しておらず、依然として販売を続ける薬局もある。近年は薬局の水準も徐々に上がってきているが、症状により適切な処方をしてくれる信頼できる医療機関を選びたい。
カンボジア国内の薬局は、医学知識のないスタッフによって経営されていることが多く、品質が粗悪な場合や、保存状態が適切でない場合もある。カンボジア国民は経済的な事情から、まずは薬局で薬を購入して治療しようとする傾向が強い。しかし、薬局では薬剤師の大学を卒業していないスタッフが処方箋なしで医薬品を販売している薬局も多く、人々が適切な医薬品を入手できているとは言い難い。
近年はチェーン展開をする薬局も増えており、薬局の水準も徐々に上がってきている。症状や体調により、適切な処方をしてくれる信頼できる医療機関を選びたい。