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2018年6月25日
カンボジア進出ガイド

【不動産】

236 カンボジアの不動産②(2018年5月発刊 ISSUE08より)

住宅の賃貸  Rental Housing

 住居として外国人に人気の高いエリアは、チャムカーモーン区BKK1。プノンペンの富裕層エリアといわれており、カフェ激戦区となっている。しかし、家賃が高いため、いろんなエリアに少しずつ分散が進み、その周辺のボントラバエク地区(BTK)、トゥールトンポン地区(TTP)、ボンケンコン2、3地区(BKK2、3)、TB、プノンペンタワー裏の人気も高い。ボントラバエク地区やトンレバサック地区南部は新興住宅地で比較的新しい建物が多く、日本人が増えているエリアだ。また、ここに日本食屋などが並ぶ「絆ストリート」もある。立地的にPPSEZに勤務している方が多く住むトゥールコーク区のボンコック1、2地区(BK1、2)も高級住宅街として知られているが、設備の割に価格が抑えられた物件が多い。

 また、ロシアンマーケットの辺りも人気が上昇しており、比較的家賃が安価であることから欧米人を中心に外国人からの注目が集まっているエリアだ。また今後開発が期待される地区として、IPSのフィッツジェラルド氏は、「ドーンペン区はまだ開発途中で、ロシアンマーケットと比べても、コンドミニアムやサービスアパートメントはあまりありません。しかし土地が広く、ホテルや駐在員向けサービスアパートメントなど、開発が見込まれるエリアです」と語った。

 カンボジアの住居形態は、サービスアパート、コンドミニアム、ヴィラ(一軒家)、プテアロベーン(フラット)などがある。サービスアパートは24時間警備のほか、プールやジム、部屋の掃除や洗濯など、ハード面だけでなく、ソフト面も充実している物件が多い。



 チャムカーモーン区BKK1で高級サービスアパートメントを展開する和新建設のジョージ・シエ氏は、「すべてのサービスアパートメントには特徴があり、ターゲットとする利用者に合わせた設計になっていますので一概には言えません。ザ・ビューの場合、一番のターゲットは日本人、台湾人です」と語る。ザ・ビューは、日本人が快適さを感じられる設計はもちろん、フロントデスクには日本語対応が可能なスタッフにより日本式のサービスを提供するという。

 また、トゥールコーク区に日本クオリティのサービスアパートを提供するレオパレス21カンボジアの小林良銑氏は、「4重のセキュリティーを1枚のカードキーにて対応、キッチンとの動線を考えた冷蔵庫の開閉(右・左開き)、全てのお部屋タイプにバスタブ(給湯200リットル)の設置など、安心と使い勝手の良さの視点にて仕上げました。ハード(設備)とソフト(サービス)両方兼ね備えた形のグレードSという位置付けで将来的にトゥールコーク区のシンボル的物件になればと思います」と語った。仕事に集中するためにも住環境の整備は大切であることから、賃貸物件の選択には十分留意したい。



 ボナリアルティグループの調査によると、プノンペンにおけるアパートの入居率は2015年の90%から2016年は82%へと低下傾向。これは住宅物件の供給増加を受けた数字とみられる。

 賃貸価格についてナイトフランクの専門家は、住宅物件の急増によって占有率と賃貸価格が影響を受けると指摘しており、今後は供給量の増加を受け価格が減少することも予想している。またコンドミニアムに対抗するべく、プールや駐車スペース、ジムなどのサービスを備えた物件も増えており、古いアパートはすでにテナントの約30~40%を失っているところもあるのが現状だ。

 以前は質の高い住宅や宿泊施設が大幅に不足していたため、オーナーは近隣国と比較しても高い賃貸価格を設定していた。しかし、2018年の供給量の増加に伴い、テナント誘致のための競争から、オーナーによる貸手市場から借手市場に向かうと予想される。

不動産の購入  Investing in property

 カンボジアでは憲法第44条において、外国人または企業が土地を所有することはできないと明記されているが、例外として土地を購入するためには、クメール資本51%以上のランドホールディングカンパニーを設立して土地を登記する方法や、実質的なオーナーになれるノミニーを利用する方法がある。特に個人が住宅を購入する際に利用されることが多いノミニーの場合、カンボジア人の友人、ノミニーの扱いのある会社、又は弁護士や不動産会社を通して設定する。カンボジア人名義だが100%の不動産抵当権を付けることにより、抵当の除外もしくは満額支払いがない限りは第三者に売り渡すことができないため、土地を守ることができ、実質的なオーナーになることが可能だ。



 ノミニー契約により外国人を支援しているカナガワ・シーオーピーのメイ・プレク・ボーラ氏は、「カンボジアでは外国人は土地を買えないので、当社が実際のオーナーの代理(ノミニー)となって土地を所有し、当社とオーナーの間で土地の全ての権利をオーナーに帰属する契約を交わします。当社は売買成約時の手数料だけいただきます。税金や、弁護士費用などは実費精算です」と語る。しかし、実際の取得金額への大幅な上乗せや、余計な経費の請求、そもそも取得できない土地の仲介など、トラブルも多くあると指摘する。同氏は、「お客様自身でもいろいろ調べられて相場観を知っていただくとトラブルを未然に防げます」と付け加える。

 また、購入する土地を選定する上で、売手の持っている書類がハードタイトルかソフトタイトルかを確認する必要がある。一方で、コンドミニアムなどを小規模のオフィススペースとして区分所有する方法もある。コンドミニアムは当初は建築者の名義で所有権が登記され、分譲されると新しい所有者の名義が登記されるとともに、各戸の所有者に対しハードタイトルが発行される。これらは、コンドミニアムなどの区分所有建物を建築する場合の義務とされている。


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