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2017年12月8日
カンボジア進出ガイド

【医療・医薬】

227 カンボジアの医療・医薬②(2017年11月発刊 ISSUE07より)

カンボジア人の保険事情 Health insurance of Cambodian

 労務災害などによる困窮を助けるため、NSSF(国家社会保険基金)が社会保険制度を運用している。従業員が8人以上の雇用者は基金へ登録しなければならないとされ、保険料は月額給与の0.8% (最低で約0.4ドル、最高で約2ドル)と低額だ。しかし、被保険者が治療を受けられる病院は指定されている。



 SICの荒木良守医師は、「皆保険、公的保険が無いと、医療レベルの発展は望めないと思います。カンボジアでは民間保険しか無いため、医療施設を利用出来る人が限られてしまいます。国民全体の医療レベルを上げるためには、多くの人が医療機関を利用し、患者側及び医療機関が共にレベルアップしていく事が必要になります。しかし現状では、政府の財政問題が関連するため、難しいとは思いますが、日本政府も公的医療保険の手助けに積極的な意思を示しており、そのような取り組みが上手く行けば良いと思います」と語る。



 こうした中で、民間保険会社の役割が大きい。 ピープル&パートナーズ インシュアランス(以下、P&P)のジェフリー・ウィッタカ―氏はカンボジアの保険市場に関して、「カンボジアの保険市場は過去数年間で2ケタ成長を記録し、今後数年間でその成長を継続していくものと思われます。その中でも健康保険及び個人損害保険は急速に成長しており、保健事業全般においても主要な分野になりつつあります」と語る。保険事業の急速な成長の要因として、経済発展による中間層の増加、健康や災害対策への関心の高まりが挙げられる。

 また、P&Pのウィッタカ―氏は、「近年、従業員は給料だけでなく、企業の福利厚生にも関心が高く、特に団体医療保険や損害保険の加入は、カンボジアでは今や当たり前になっています」と述べた。

日本人の保険事情 Health insurance of Japanese

 外国人にとって、一般的にカンボジアでよい病院を選ぶのは簡単なことではない。病院を選ぶ際は、外国人の専門医師、もしくは海外で訓練を受けたカンボジア人医師や外国の医師免許を持っているカンボジア人医師を有し、国際標準医療を導入している医療機関を選ぶことが望ましい。

 また、移住した外国人の場合、母国の医療費の補助を受けられないことがある。仮に住民票を残していても、還付申請の際には、申請書・領収書・診断書(診療内容明細書)の用意が必要となり、申請作業そのものが煩雑だ。

 一方で、海外旅行保険は航空機遅延の補償や携帯品損害など移住者にとって不要な補償が多く含まれている分割高のため、現地採用の日本人従業員など期間の限定がなくカンボジアに移住する人にとっては、現地保険会社と契約するのが妥当だろう。

カンボジアの薬局事情 Pharmacy circumstances in Cambodia

 カンボジア国内の薬局は、医学知識のないスタッフによって経営されていることが多く、品質が粗悪な場合や、保存状態が適切でない場合もある。カンボジア国民は経済的な事情から、まずは薬局で薬を購入して治療しようとする傾向が強い。しかし、薬局では薬剤師の大学を卒業していないスタッフが処方箋なしで医薬品を販売している薬局も多く、人々が適切な医薬品を入手できているとは言い難い。

 近年はチェーン展開をする薬局も増えており、薬局の水準も徐々に上がってきている。症状や体調により、適切な処方をしてくれる信頼できる医療機関を選びたい。


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