カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

2017年12月8日
カンボジア進出ガイド

【人材・コンサル】

213 カンボジアのHR・コンサル①(2017年11月発刊 ISSUE07より)

カンボジア人の特性 Characteristics of Cambodian staff

 2017年1月に発表された「人材競争力ランキング」では、カンボジアは108位(118か国中)と、前年の96位(109か国中)から順位を落とした。「人材競争力ランキング」は、スイスに本部を置く人材サービス会社・アデコグループなどが行った国際調査を基にまとめたもので、人材の育成や獲得、維持について各国をランク付けしている。つまり、カンボジアは世界的に見ても人材の育成や獲得、維持が難しい国だと判断されていると言える。

 日本人の紹介にも多数の実績と経験を持つ日系人材紹介会社クリエイティブ・ダイアモンド・リンクス(CDL)の小柳千里氏は、「全体的に、基礎能力が低いように感じます。何か問題があった際も、自分なりに改善策を考えるところまで思考が及びません。何が問題なのかは考えますが、その後の解決手段を考える発想に至らないようです。これはカンボジアの教育や、離職率の高さに伴う経験不足が要因だと考えられます」と語る。

 多くの経営者はカンボジア人に対する共通した感想を持っている。彼らはフレンドリーで礼儀正しいが、上司に対する進言などは少ない。彼らは自ら話さないだけで仕事に対して想いやアイディアを持っており、それを引き出すことはとても有用である。だからこそスタッフとよく話すようにするのが良いだろう。カンボジア人が家族主義の文化に基づいており、常に家族を第一に考えているという点に理解を深める必要がある。

カンボジア人の働き方 Cambodian work ethic

 カンボジア人の多くが日系企業の厳しさにトラブルを抱えているというが、カンボジア人と働くうえで、理解しておくべき点として、何をしたら良いだろうか。



 ローカル系人材会社Aプラスのソー・キナール氏は、「カンボジア人は日本の企業に、厳しくて勤勉、会社への忠誠心、長期雇用というようなイメージを持っています。しかし、日本人とカンボジア人では長期雇用の考え方は違います。また、現在の仕事よりも良い職場を見つけたら、彼らは簡単に別の会社に移ります。仕事が終わるまで夜9時、10時まで働くことは、日本でのみ可能なことです。文化の違いや安全保障上、ここカンボジアでは同じようにはいきません」と語る。
 
 2005年創業、100名以上のスタッフを擁するカンボジア最大の人材会社、HRインクのサンドラ・ダミーコ氏は、「カンボジア人はフレンドリーで易しく、日系企業のような厳しい環境には慣れていません。カンボジアにも規律はありますが、日本の規律とは異なります。最近では多くのカンボジア人が日本に勉強しに行き、カンボジアに戻ってきているため、日本の文化や日本人の働き方を理解している人が多いようにも感じます。そうしたことからギャップはどんどん小さくなっているとは思います」と語る。



 CDLの小柳氏は、「カンボジア人求職者と日系企業の場合、元々の環境や文化が異なるため働き方に対する価値観にズレが生じます。特にカンボジア人は何か不安を感じていても、言わないことが多いです。そして、カンボジア人が辞めたいと考える理由は、些細なことである場合が多いです。日本人にとっては聞けば済むことだと思いますが、なかなか聞かない、聞けないのがカンボジア人就職者の特徴です。彼らが抱える不安が積み重なり、気づけば辞めていたという事態に至ってしまう場合が多いです」と語る。また、同氏は、「カンボジア人の文化、考え方、そしてカンボジアはまだ成長の過程にあるということを理解することが必要だと思います。日本人の感覚を押し付けても、カンボジア人は受け入れられないですし、どんどん企業から離れていきます」と付け加えた。

最低賃金 Working hours & minimum wage



 10月5日、労働職業訓練省は2018年の縫製業、被服業及び製靴業に従事する労働者の月額最低賃金を153ドルから170ドルに上昇すると発表した。2017年の153ドルから11.1%増。前年の伸び率9.2%増を上回る伸びとなった。なお、政府が定める最低賃金額に自国通貨(リエル)を使用しないことは世界的に異例。為替が対新興国通貨でドル高基調となる際は、ASEAN諸国内において相対的に労働コストが高くなることを意味する。


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