【IT・通信】
今年5月、プノンペンで初めて世界経済フォーラム(WEF)ASEAN会議が開催された。WEFによると、ASEANは世界でもっとも急速に成長しているインターネットユーザーを抱えており、特に若者層がインターネットを取り入れたことが、更なる経済成長の可能性を生み出しているという。カンボジアもその例に漏れない。
国際電気通信連合(ITU)によると、2016年のカンボジアの携帯電話の加入数は人口比120%超の1990万枚、アジア財団による携帯電話の保有率は、96%(都市部97%、地方部95%)。また、スマー トフォン保有率は48%(都市部60%、地方部42%)と、 都市部と地方部では開きがある。
一方、移動通信業者は、現在はベトナム系キャリアであるヴィッテルを母体とするメットフォン、マレーシア系キャリアであるアクシアタを母体とするスマート、カンボジア有力財閥ロイヤルグループとルクセンブルグ系MCIの共同出資によるセルカードの3大キャリアが市場をほぼ制圧している。
小さな市場で競争が激化するなか、各通信キャリアは進化する顧客ニーズの取り込みに必死の様相だ。携帯通信各社で様々なプロモーションを行っており、実質の値引き合戦が進んでいる。カンボジア電気通信規制機関は、多くの消費者が最新テクノロジーの携帯通信サービスを享受できることを評価しつつも、行き過ぎた価格競争が事業者の疲弊を招くことに警鐘を鳴らしている。
カンボジアはインターネットの分野で急速な成長を遂げている。ITUの調査によると、以前は50社以上あったインターネットサービスプロバイダ(ISP)企業が、2015年末時点では31社となっており、サービスと価格における競争が激化の一途をたどる。
2006年にISPの先駆けとして、IT製品、データセンターなどをITソリューションとして顧客にワンストップで提供しているメコンネットのソク・チャンダ氏は、「プノンペンでのシェアが高い企業、逆に地方でのシェアが高い企業など、各企業が異なった戦略を展開しています。創業当時は業界全体をターゲットにしていましたが、現在は市場の顧客獲得率より、良いサービスを提供できる顧客の獲得に重きを置いています。多くのユーザーがいると、顧客対応に追われてサービスの質が低下する恐れがあり、他のIPSとのパイを巡った競争になれば、価格は低下し、低すぎる価格は品質の低下を招きます。現在カンボジアでは、多少料金が上がっても快適なネット環境を必要としている顧客は多いと感じます」と各社の違いについて語る。