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2017年6月29日
カンボジア進出ガイド

【建築・内装】

182 カンボジアの建設・内装①(2017年05月発刊 ISSUE06より)

建設業界 The construction industry

 国土整備・都市化・建設省(MLMUPC)が1月17日発表したデータによると、2016年の不動産開発プロジェクトへの投資承認額が、前年の33億ドルに比べ155%増の85億3000万ドルと、投資額が急増したにも関わらず、建設業関連の税収は、2015年の9000万ドルから、昨年は7200万ドルと25%の減収を見せた。7200万ドルの税収のうち約85%が不動産移転税だったという。また、承認済みの建設計画の総数は、前年の2305件に比べ2636件と増加した。



 カンボジア建設協会(CCA)のリー・チョン副会長は、「税収額は実際の建設活動を反映しており、2016年の建設活動は2015年ほど強くなかった」と述べ、カンボジア不動産協会(CVEA)のキム・ヘン会長は、「2016年には建設活動の減速がはっきり見えており、建設省が発表した投資額の数字は疑念を持つ。85億ドルが実動を反映していれば素晴らしいが、実際の金額はそれほど高いとは思わない」と述べた。また同氏は、「野心的な不動産開発プロジェクトが成果を上げることはまずない。ザ・ブリッジやイオンモール2号店など、非常に大規模なプロジェクトの投資額でも数百万ドルに過ぎなかったことを考えると、数十億ドルの価格は非現実的だ」と付け加えている。

 経済財政省の統計によると、カンボジアの建設ブームによるプノンペンでの過剰供給と需要下落が原因で、新規の建設は今後5年間減速が続くとしている。同省は、建設部門における成長率が2015年19%の伸びに比べ、2016年は15%の成長を見込んでおり、また2017年は12.4%、2018年10.3%、2019年には10.0%と減速を予測した。




 建設会社、サプライヤー、不動産会社など60社以上が加入するカンボジア建設協会(CCA)が支援する建築業界専門誌、コンストラクション&プロパティ(C&P)のミース・プロックサー氏は、「前年と比較して、建設市場がやや減速しているように思います。2016年に多くのプロジェクトがローンチしたわけではありませんが、ほとんどの開発が2015年以降に開始され、2018年以降、すなわち2018年の国民選挙後の完了を目指している可能性が高いです。総選挙後には、政治的・経済的安定が正常化し、不動産市場が再び盛り上がるのではないでしょうか」と話す。

プノンペンの都市計画について City Planning of Phnom Penh

 昔のカンボジアは、環境の面から言って非常によくできた都市であった。工場が郊外に位置しているなど、都市機能も独立しており、「真珠の都(Parl City)」と呼ばれていた。しかし近年カンボジアは、更なる発展とインフラ整備の促進のため、建設や都市計画分野からの貢献をより一層必要としている。また、排水設備強化などインフラ整備を進めて国を発展させるため、より多くの人的資源が必要だ。



 カンボジア建築家委員会(The Board of Architects Cambodia = BAC)のトゥース・サプーン氏は、「現在カンボジアでは建設業界が活況ですし、特に都市部で顕著です。この発展はプノンペン郊外へも拡大しつつあるため、都市計画のマスタープランが必要になっています。しかし、その土地の自然な部分と都市としての機能を融合させる必要があるため、都市計画というのは難しいのです」と語る。

 例えば、このあたりは工業地区、このあたりは居住区域、このあたりは商業区域、といったように、理想的な都市は、機能が独立して都市の中に存在している。工業地区には大型トラックが通行できるような特に広い道路で、多くの電力が供給される必要もある。

 同氏は、「現在のプノンペンはそのような都市構造になっておらず、このまま拡大する可能性があります。これらすべての都市機能が雑然とごちゃ混ぜになっていますが、これは問題です。現在すでに都市化した部分については良いとしても、今後拡大していくであろう潜在的な都市部(つまり現在の都市郊外)については、上下水道インフラや電力供給網などをよく計画しておく必要があります。でないと、例えば工場からの排煙や排水が居住区に流れて行ってしまい、人間の健康にもよくありません。うまく設計されていない都市で、排水はどこへ行くのでしょう」と語り、どうしてフラットなどがこれほど乱立しているのかと疑問を呈している。

需要と供給 Supply and demand

 2017年2月、カンボジアの不動産プロジェクト、オリンピアシティが計画を縮小するとデベロッパーが発表した。複合施設内の最も高い建物が、当初予定されていた65階建てから45階建てに、別の45階建ての建物も38階建てになるという。オリンピアシティは、カナディア財閥系の不動産開発会社OCIC社によって開発されている巨大複合プロジェクトで2020年完成予定だ。

 C&Pのミース氏は、「過去数年間、ハイエンドクラスの開発が多く、そのため過剰供給が発生し、十分な買い手がいません。そのため現在、デベロッパーは開発物件をローエンドクラスや、買い手を引き付けることができるコンセプトに変更しています。もし安価で素晴らしい開発コンセプトであれば、顧客は十分に確保できます。 カンボジア市場は依然として強い購買力がありますが、立地が良い、デザインが良い、手頃な価格、ビジネスや投資において魅力的等、買い手を惹き付ける物件は少ないです」と語る。

 CBREのレポートによると、コンドミニアムの供給は2015年にかけて22.4%増加したが、2018年には実に794%増の1万9018戸が追加されることから、2018年末までに合計すると2万1414戸となる見込みだ。また、センチュリー21カンボジアの調査でも、2020年まで カンボジア国内で売上がトップクラスの建設会社、スタンダードコンストラクション&エンジニアリング(SCE)のエン・スロン氏は、「カンボジアにとって、海外の投資家抜きでの建設業界の成長は難しいでしょう。地元の人はお金を持っていませんから。そのため政府の政策や指針として、投資家の誘致が必要です。どうすれば投資家の方々がカンボジアに投資をしてくれるのか、これを考えないと建設業界は生き残れないでしょう」と語る。

 不動産会社Vトラストが2017年3月に発表したレポートによると、昨年発売されたボレイの3分の1(約3万3500戸)の完成ユニットが売れ残るなかで、さらに2万8000戸のユニットが年末までに完成する予定だ。不動産市場では、クラスター型の戸建住宅(個別の独立した住宅のゲート付き共同体)の建設が精力的に進められており、こうした住宅は2016年末までに合計で10万278戸が建設され、そのうち69%が完成し、67%が売却された。

 競争に勝つためにデベロッパーも抑えた価格を提示しているが、ボレイの一部のデベロッパーが顧客に対し、頭金なしで30年間の長期住宅ローンを提供しているケースもある。カンボジア不動産協会(CVEA)とカンボジア住宅開発協会(HDAC)は、ボレイの一部のデベロッパーが顧客に対し、頭金なしで30年間の長期住宅ローンを提供していることに対し、懸念を表明しており、給過剰は柔軟な支払い方式の提供や、価格を引き下げたり等によるもので、こうした状況から開発業者が建設を保留にする可能性があると付け加えている。


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