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2017年6月29日
カンボジア進出ガイド

【不動産】

181 カンボジアの不動産③(2017年05月発刊 ISSUE06より)

不動産の購入 Investing in property

 不動産購入に関して、キーリアルエステートのソーン氏は、「不動産購入をするなら、需要と供給の関係から売り手が多いときに購入し、買い手が多い時に売るのがベストです。今は買い手が多くありませんから、今年か来年が狙い時だと思います。ただ気をつけてほしいこととして、カンボジアでは日本人を含め、外国人が土地を所有することはできません」と語る。

 カンボジアでは憲法第44条において、外国人または企業が土地を所有することはできないと明記されているが、例外として土地を購入するためには、クメール資本51%以上の合弁会社により購入する等の条件がある。まず、購入する土地を選定する上で、売手の持っている書類がハードタイトルかソフトタイトルかを確認する必要がある。JICA国際協力専門員、磯井美葉氏は、報告書「カンボジアの不動産登記について」内で、権利証について以下のように記述している。

 Systematic RegistrationおよびSporadic Registrationにより発行された権利証または占有権証明書等は、実務上ハードタイトルと呼ばれる。
 これに対して、ソフトタイトルと呼ばれるものも流通している。これには登記手続の前提としてコミューンチーフ※1 が占有状態を証明した書類、Sporadic Registrationの「受理書」など、いくつかの種類があるようである。地籍局に登記されていない土地について、これらのソフトタイトルを相手に交付することによって、担保を設定したり、所有権を移転したりする慣行があるようだが、複数の人が同じ土地について権利を主張する等、不安定、不確実なものであり、紛争の原因ともなっている。
 所有権が認定され、登記がされた後に所有権移転等によって変更登記を行う際は、登記簿の記載を変更するとともに、旧所有者が手元に保有する権利証等を地籍局に提出し、権利証等にも登記簿と同様に変更の記載をすることになっている。


 一方で、コンドミニアムなどを小規模のオフィススペースとして区分所有する方法もある。コンドミニアムは当初は建築者の名義で所有権が登記され、分譲されると新しい所有者の名義が登記されるとともに、各戸の所有者に対しハードタイトルが発行される。これらは、コンドミニアムなどの区分所有建物を建築する場合の義務とされているが、プノンペン市内でも、権利証(ハードタイトル)のないコンドミニアムが売り出されている例がある。クメールリアルエステートのキム氏は、「カンボジアの法律によれば、外国人が購入できる不動産はコンドミニアムで、しかも2階以上の部分だけですが、ドーンペン区では外国人がフラットのことをコンドミニアムだと勘違いしているので、みんなフラットを購入してしまうのです。これはカンボジアの法に反しています。コンドミニアムは10~20階建てで、広い土地、駐車場、建設許可のある建築物のことと法律で決まっています」と語る。

 欧米系外国人クライアントを多く持つ、IPSのCEO、デイビット・マーフィー氏は、「会社として物件を購入する場合、所有権を考えたほうがいいですね。権利証等がない物件の場合、有効な所有権の取り決めをする必要があります。正式に登記された会社の場合、ランドホールディングカンパニーを設立して土地を登記します。これだけではリスクが高いので議決権を51%以上にする必要がありますね。こうすればローカルパートナーの名義が含まれたとしても会社の判断に口出しをすることが不可能となります。さらにこれは人気の高い方法で特に住宅で多いのですが、ノミニー※2 制度を利用するものです。カンボジア人の友人もしくはノミニーの扱いのある会社もしくは弁護士や不動産会社を通して設定します。あなたの資金で、しかし名義はカンボジア人のものになります。そこに100%の不動産抵当権を付けることにより、抵当の除外もしくは満額支払いがない限りは第三者に売り渡すことができないのです。このような手法で土地を守ります」と語った。


※1 コミューンチーフ: カンボジアの地方行政には、州、郡、コミューンという三つの行政区分がある。コミューンは人口1万5千人から2万人の規模をもつ行政体で、コミューンの下には村がある。一つのコミューンにつき8~10の村がある。
※2 ノミニー: 合法的にプライバシーを保護することができる。法人登記時にオーナーの個人情報を使うことなく登記することが可能。


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