カンボジアに進出する日系企業のための
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2017年1月4日
カンボジア進出ガイド

【人材・コンサル】

157 カンボジアの人材・コンサル②(2016年11月発刊 ISSUE05より)

日本語人材 Japanese-speaking workers

 2015年の日本語人材の給与相場(最終月給)は、日常会話レベルで359.3ドル、ビジネス会話レベルで708.2ドルだ。日常会話レベルは最終月給で対前年度3.6%と低い上昇に留まっている。一方、ビジネス会話レベルは2014年に引き続き20%以上伸びており、比較的高給である日本語人材の中でも二極化が進行している。

 この数値は日本語と英語以外の言語が話せる客体は除外しているため、中国語やタイ語などの第三言語の能力を有する人材であれば、さらに高額になることが予想される。

 ローカルの日本語人材は、供給不足から英語人材と比較して賃金に倍の開きがあるといわれており、例えば、英語人材なら日常会話レベルで180ドル~、ビジネス会話レベルで300ドル~だ。日本語人材の給与の高止まり等を背景に日本語の学習熱は高まっているが、労働市場に供給されるには当分先となる。さらに言語習得スピードが遅く、就学時間の割には伸び悩む傾向があることから、歪な需給バランスは続くだろう。

 トップリクルートメントのブリテン氏は、「ベトナムやタイよりもカンボジア人の英語理解能力はずっと高いです。日系企業がこちらでもがいているのはなぜかというと、派遣されてくる日本人の英語の力が十分高くないからです。日本語を話せるカンボジア人を探すかわりに、日系企業はおそらく、英語を話せる日本人を派遣するべきですね。カンボジアで日本語を非常によく理解できる人材の市場はとても小さいですから、解決方法は英語をこちらが理解することです。日本語コースを作ったり日本語学校を作ったりするのもいいですが、それは中長期的解決策です。今解決策が必要ならば、こちらが英語を理解すべきでしょう」と語る。

会計人材 Accounting staff

 カンボジアでは大学で金融や銀行の勉強がとても人気だ。しかし、大学を卒業しても金融機関で働けない者が多く、大学で勉強できる知識には限度がある。大学の授業が均質化されておらず、同じ会計学でも大学によってレベルが異なる。学生が100人いて100人卒業したとしても、共に資格を与えられるが、例え資格を持っていても、全員が会計業務のプロフェッショナルなれるとは言えない。



 英国公認会計士(ACCA)の国際プログラムを提供しているカムエド・ビジネススクールのケイシー・バーネット氏は、「他の大学では、お金を払って授業に出れば入学したことになりますから、入学は簡単です。また4年間お金を払えば資格を得ることができる。学生たちは一度に2校も3校も同時に大学に通っていますよね。それは、学位を取得するのが簡単だからです。3つの大学に喜んでお金を払えば、3つの学位を取得できるのです」と語る。

 CDLの鳴海氏は、「会計を学んだ人材が労働市場へ毎年多く流入し、会計スタッフとして働くことを望む者は数多いですが、そもそも会社に何人も必要な職種ではないという点、また、企業が望むレベルの人材が少ないという点で、実際に職に就ける者は一握りです」と話す。

 カムエド・ビジネススクールのバーネット氏は、「昨年私は300社の企業から、会計人材について問合せがありました。しかし、レベルの高いアカウンタントは少人数で、異なった業種では異なった経験が求められ、各会社に適したアカウンタントを見つけるのは非常に難しいと思います。会計士と同様のACCA資格者は、国内でもたった140人。ACCAより低いレベルの資格(CAT)でも、300人近くです。もちろん資格保持者数は毎年増えていますが、ACCAを取得するのは毎年22人程度です」と語る。

 会計を教える機関や卒業生のレベルの相違から、卒業後の就職先には幅が広い。会計士として数千ドルの給料を得る者もいる。ACCAを取得した者は上は9000ドルから下は900ドルまでと幅が広いが、大体平均月2000ドルだ。また、学士を持っていれば約300~450ドル。しかし、一般企業の経理スタッフに就職もできず、店舗のキャッシャーや会計とは全く違う職業に就く者もいる。

人材の募集方法 Approaches to recruitment

 求人方法にはラジオ、新聞、フェイスブックや求人サイトの利用、知人やスタッフからの紹介などの方法がある。カンボジアで最大の閲覧数を誇る求人サイト「カムHR(CAMHR)」では、求人情報の掲載だけでなく、データベースにアクセスして求職者データを閲覧することができ、求職者は直接応募することも可能だ。

 カムHRの温氏は、「求人サイトを使って研修施設の集客もしています。我々にとっては求職者への新たな出口を提案できます。例えば、大学での専攻は通信だけれども、スキルアップのため全く違う職種に就きたい。そういう場合に研修施設に入ります」と語り、今までのサービスに加え、地元の研修施設30社以上と提携し研修事業を展開している。

 スタッフの募集に際し、時間的な余裕がある場合には、市内で開催される就職説明会に有料で参加することもできる。やや郊外に位置するCJCCでは、定期的に日本企業向けの就職説明会を開催している。就職説明会に参加を希望する場合には事前にCJCCへ所定の申込手続と参加費の支払いをする必要がある。

 また、募集や面接の作業には多大な労力と時間的コストを費やすため、人材紹介会社にアウトソースすることも有効だ。報酬は採用した人材の月給の2か月分。採用が決定して初めて課金される成果報酬制が主流で、紹介した人材が早期退職した場合は、手数料の返還や代替候補者の紹介などの保障がある。「人材紹介会社を利用するメリットとして、突発的な採用業務による平常業務の停滞防止や、不適合者の登用がもたらす人的リスクの排除などが挙げられます」とCDLの鳴海氏は語っている。


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