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2017年1月4日
カンボジア進出ガイド

【建築・内装】

152 カンボジアの建設・内装②(2016年11月発刊 ISSUE05より)

ボレイとコンドミニアム Borey & Condominium

 カンボジアは高い経済発展を背景に、強い購買力を持ち始めた人々がまず最初に求めるものは良い家だ。プノンペン都郊外では、ボレイ(戸建住宅街)の開発が数多く進んでいる。住みやすい環境に恵まれ、買い手が土地所有権利を持てる点が人気だが、選ぶうえで留意点もある。



 地元富裕層に人気のあるボレイ、オーキデヴィラのキエウ・サシリップ氏は、「なかには土地のほとんどが細かく分割されており、緑やレジャースペースがほとんど無いボレイもあります。ボレイは土地を個々で所有しているため、追加改修などが雑然と行われ、ボレイの全体的な雰囲気を壊してしまうなど、何が起こるかほとんど制御できません。また多くの購入者は保守や修繕費用を出したがらず、道路や公園のような供用スペースが置き去りになりかねません」とボレイの留意点を語る。

 ソナトラグループの永田氏は、「一番大事なのは、ボレイ自体の価値を上げること、街をどう作ってどう発展させるのかです。ちゃんとメンテナンスして、富裕層の方々も住みだす街を開発しなければなりません。メンテナンスしないと公園は汚れ、道路も傷み、町自体の付加価値が下がります。良い町に継続して作るなら、メンテナンスが一番大事です」と、できるだけ良いボレイを選ぶ方法としてメンテナンスの重要性を指摘している。

 潜在的な買い手には多くの選択肢があり、市場競争に勝つためにデベロッパーも抑えた価格を提示しているが、ボレイの一部のデベロッパーが顧客に対し、頭金なしで30年間の長期住宅ローンを提供しているケースもある。

 一方でコンドミニアムを購入するカンボジア人の多くは、学校や空港、都内中心部へ簡単にアクセスでき、素晴らしい景観や設備を持つ、都会的で世界基準のライフスタイルを楽しみたいと思っており、もちろんそのほとんどが、キャピタルゲインや賃貸収入目的も含まれる。オーキデヴィラの場合、ボレイ内のコンドミニアムの9割以上の購入者が、若くて知識を持ち、海外を知っている現地人だという。

 センチュリー21・メコンのチレク氏は、「カンボジアの高齢者の習慣や文化では土地を持ちたがり、コンドミニアムに住むことを好みません。コンドミニアムがそれぞれ分かれた居住スペースを持っていることすら理解していない人もいます。コンドミニアムを買う地元の人のほとんどは投資が目的です。コンドミニアムに住むことを好む外国人に貸すためです。しかし3年後には若い世代が文化の変化を受け入れてコンドミニアムに住むようになるでしょう」と語った。

 また、低所得者や労働者向けに、手頃な価格で住宅を提供する公共住宅計画が、年末に開始する予定だ。この計画を政府から請負うワールドブリッジ・インターナショナル・グループのシーア・リッティ会長は、「FS調査はほぼ完了しており、プロジェクトの開始は今年10月か11月で、完了は2年以内だ」と述べ、住宅価格は2万5000ドル~3万ドルで、住宅ローンが利用出来るようになるという。

労働者 Construction workers

 カンボジアの不動産・建設セクターが20万人以上のカンボジア人を雇用するなど、雇用機会創出の牽引役となっている。地方からの出稼ぎ労働者が多く雇用されており、収穫期でない時期には高報酬を求めて地方から首都へ大量流入し、収穫期になれば地方へ農業をしに戻るという。

 国土整備・都市化・建設者の調査によると、プノンペンの2015年6月の建設業界の人件費は、設計者と建築士は日給15~20ドル程度、作業主任者も日給15~20ドル程度、熟練労働者で日給8~9ドル程度、非熟練労働者は日給5~7.5ドルで雇われているが、より高い賃金を求め労働者がタイなどへの流出などにより建設業で労働力が不足している。

 今年8月、カンボジア内務省より発表された報告書によれば、今年始まって以降、1万人以上の不法労働者(90%がベトナム人)が国外追放処分となっており、その多くが建設業に従事していた。



 日系でタワーコンドミニアムを始め、民間で唯一3棟の建設実績を持つタニチュウ・アセットメントの谷俊二氏は、分離発注により中間業者を省くことで建設労働者の離職防止に繋げている。同氏は、「僕らは中間業者を省いています。例えば、中間業者が入れば彼らは単価5ドルしか貰えなかったけど、中間を省いたら単価8~10ドル貰える可能性がある。職人らにとっては利益にもなるし、お金もしっかり払ってくれる。やっぱり安心して働けるので、やりがいも出るし、結果として仕事を真面目に頑張ってくれます。他の現場では工場などでも、やれ最低賃金がいくらにするとか、安くすることばかり考えています。良い仕事をしてもらおうと思ったら、僕はむしろ少しでも待遇を良くしたいと考えます。それでなければ、なぜそんな危険で大変な建設の仕事を納期厳守しようと遅くまでがんばっていると思いますか?僕は建設現場をそう見ています」と話す。


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