【法務・会計】
ルール整備・改正は更に続きながらも、その運用状況にはいまだ難あり、という一筋縄ではいかない法律環境において、カンボジアで20年以上の歴史を持つ、シャーロニ&アソシエイツのシニアパートナー、ブレットン・G・シャーロニ氏も実践的なアドバイスとして、「法律を順守すると決めた以上は、よくありがちな“政府関係の親族です”と言い寄ってくる仲介人などは相手にしないことです。問題に直面した時、彼らは安易な提案をしてくるでしょうが、万が一あなたがやるべきことを手順通りやっていないということが表面化した時、大きな代償を払うことになります」と語る。
条文や判例を机上で講釈する専門家よりも、いかに実践的に顧客の法律・会計実務や諸問題と向き合い、解決に向けて共に動いてくれるか。資格や肩書きよりも、リアルな実務経験と協業スタイルがパートナー選びにあたっての重要なポイントとなるようだ。
更なる経済発展のため、カンボジア政府は海外直接投資の呼び込みに力を入れているが、一方で国内の公共・民間セクターの両者で蔓延している汚職や腐敗が、海外からのビジネス進出を妨げる要因になっていると多方面から指摘・懸念されている。
2016年10月に米非営利団体ワールド・ジャスティス・プロジェクト(WJP)が発表した「法の支配」ランキングによれば、カンボジアは昨年から2つ順位を下げ、全113か国中112位だった。ランキングを決定付ける8部門のうちの全てで、東南アジア・太平洋地域最下位を記録しており、司法・立法・行政の腐敗指数で構成される「腐敗」部門は世界ランキング111位だった。
国内最大級のローファームHBS LAW法律事務所。数多くの多国籍企業のアドバイザーとして活躍しているリ・タイセン弁護士に投資におけるホットトピックスを聞いた。
「金融業界で言えば、例えば、三井住友銀行によるアクレダ銀行への出資など、日本人投資家は銀行やマイクロファイナンス機関への投資に意欲的です。三菱東京UFJ銀行の連結子会社であるタイ国のアユタヤ銀行による大手マイクロファイナンス・ハッタカクセカーの株式取得などもその一例です。
また、証券取引で言えば、政府は証券取引に関する税の優遇措置を取っています。非居住者への配当は14%の源泉徴収税の対象ですが、カンボジア証券取引所の上場会社の株を保有する投資家への配当は源泉徴収税が50%免除されます。また、上場会社は法人税の50%免除を3年間受けられ、上場に関心を持つ企業が増えていますし、政府としても奨励しています。
不動産投資で言えば、プノンペン市外で言うと、シアヌークビルは投資家にとって魅力的な土地でしょう。政府はシアヌークビルのインフラや観光業の発展に力を入れています。シアヌークビル港近辺のインフラ・観光地の発展・整備も進んでいます。シアヌークビルには国際空港があり、ホーチミンやシンガールなどからの直行便があります。
個人的にお勧めするのは農業ですね。広大な土地、安い地価、労働者はまだ低賃金と利点は沢山あります。政府としても農業・農作物の輸出拡大に力を入れています。農業や食品分野はまだ成長の余地があります。高品質の米や果物を作れば高く売れますし、フィリピン、EU、中国、米国などどこにでも輸出できます。一方、カンボジアの灌漑技術は未発達です。日本からの技術移転により農業分野の投資環境が改善されることを期待しています」。