カンボジアに進出する日系企業のための
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2019年8月12日
カンボジア進出ガイド

【法務・会計】

283 カンボジアの法律・税務・会計①(2019年6月発刊 ISSUE10より)

カンボジアの税収 The Cambodian Tax system

 税務調査や租税債務の管理強化、追徴課税等の担当者へのインセンティブ支払制度等の施策を通して各年度財政法にて設定された予算に基づき、政府は徴税体制を強化している。更に主たる施策として、税務登録義務があるにも関わらず登録を怠っている事業者への登録促進、新システム・全納税者の再登録手続の運用強化・電子登録申請制度などのICT化の推進などを進めている。

 カンボジアは急速な経済成長と安定した政治情勢を反映して、通関や消費税の増加をもたらしている。2019年第1四半期では、税関手数料からの収入が約6億6800万ドルを占め、同期間の課税収入は約4億ドルだった。最初の3ヶ月間に関税と課税からおよそ10億6800万ドルの収入の税収があった。

 また、最近、付加価値税(VAT)還付申請に関して、売上VATと仕入VATを管理するため、税務総局はオンライン登録システムの運用を開始した。設立以来8年で培われた豊富なノウハウを持つ日系会計事務所であるアイグローカルのマック・ブラタナ氏は、「還付時ではなく、毎月の税務申告書を提出する時点で2019年4月から3月分のe-VATデータをエクスポートして提出する旨の義務が付けられています。駐在員事務所の場合はVAT還付システムが有りませんが、フォームのみ提出するように求められる点に留意が必要です」と語る。

税制優遇処置 Tax incentive treatment

 様々な税制優遇措置が行われている。税務登録を推進するため、2018年末までに経済財政省に税務登録した中小企業に対して2年間の法人税免除が行うという閣僚会議令が発令された。さらに、カンボジア人の雇用創出を目的に、カンボジアの特定産業(農業、食品生産加工、手工芸品の製造、廃棄物処理、IT研究開発)の中小企業に対して、所得税の免除などの税制優遇措置を行う閣僚会議令が2018年10月に公布された。また、従業員や研修生が海外で働くための求職、職業訓練、派遣や管理などの人材関連サービスは、VATが免税とされている。

税務に絡む経営課題 Management Challenges Involved in Tax

 カンボジア税務の特徴として、税制度の大枠の整備はされているものの、細則の整備が遅れており、税解釈が多岐にわたることが多いことから納税に対する予見が困難であることが挙げられる。

 また、カンボジアの税務申告業務は近隣他国に比べて煩雑であるのも特徴だ。毎月、月次ベースでの税務申告書類の作成・提出が義務化されており、また年間の法人税額が確定する前段階で毎月納付すべき税金もある。ルールや手続が極めて煩雑である一方、制度自体が未整備なまま急な制度変更が実施される事も多々あり、進出企業を常時悩ますリスク要因の一つにもなっている。カンボジアの税務の問題点については対応が難しい部分があり、正しい知識を持った専門家に意見を聞くことが大事になるだろう。務情報が把握できず、監査や税務調査等で会計原則からの乖離や計上漏れ等を指摘され、追徴課税を請求されるケースが多くある。進出した企業にとって、まずは自社の経理機能を強化が急務となろう。

 日本人会計士が常駐しリーズナブルな価格でサービスを提供しているSCSグローバルコンサルティング(以下、SCS)の宮田智広氏は、「日本企業が海外進出するにあたり、本社の経理財務部門の方が常駐することは滅多にありません。そのため会計税務の知見や素養のある日本人がいない中、資金繰りの繊細なスタートアップ期などにおいて自社で会計税務を試みるも、後々申告漏れや会計と税務の不一致、必要書類の紛失などといったトラブルが発覚し、結果的に追徴課税等でコストが余計に膨らむケースがしばしばあります。ここカンボジアにおいても法制度が頻繁にアップデートされ、それがビジネスリスクにもチャンスにもなりますが、いずれにしても常に専門性の高い知識が必要になります」と話す。

 また、カンボジア進出検討段階から設立後までの会計・税務業務などをワンストップでサービスする東京コンサルティングファームの西山翔太郎氏は、「利益やコストなどの財務データの正確性・適時性を向上させ、生産目標、売上目標の到達度を逐次チェックし、何に手を打たなければならないかの意思決定サイクルを高速化していくことが重要となります。会計を単なる税務申告用のツールとして使うのではなく、意思決定ツールとして捉え、利益体質の企業となるようサポートしています」と語る。


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