【医療・医薬】
(138 カンボジアの医療・医薬③の続き)
自身も薬剤師である、透析治療専門クリニックのジャパンライフクリニックの青木渉氏は、「カンボジアの薬は欧米から入っているものが多く、体の大きな欧米人と同じ用量を処方されることが多いです。日本は厚生労働省の基準が厳しいので用量の制限が厳密に決められていますが、カンボジアではそれがありません」と述べている。SICの久保医師は、「当院では日本製の医薬品をなるべく取り揃えており、やむなく海外の薬を処方するときには、日本での内服量に準拠した処方を考えています」と語っている。 症状や体調により、適切な処方をしてくれる信頼できる医療機関選びをしたい。
また、SICは医療健康相談サービスや24時間救急支援サービス付きの置き薬サービスを開始した。かぜ薬、胃薬、漢方薬、解熱剤、整腸剤、体温計などを取り揃えており、在住日本人の健康面を支援している。置き薬の使用方法はSICのスタッフが説明し、料金は設置無償で使用した薬のみが清算対象となる。
カンボジアの労働法では、労働者の安全確保・健康維持や職場環境の整備に関して雇用者が順守すべき内容が定められている。例えば、機器・設備・道具を安全な状態で設置・維持すること、衛生的な飲料・食事を用意すること、業務中・通勤中に発生した事故・病気について必要な医療を提供すること等がある。
また、50名以上を雇用する雇用者は、20㎡以上の診療室を設置する義務があり、労働者の人数に応じて必要な医療者数・ベッド数も定められている。労働監督官による監査も行われるが、その基準は業種ごとに異なっている。日系医療機関の進出支援を行なうメディエル代表の佐藤創氏は、「実際にはこれらの条件をすべて満たしている企業は少ないのが現状ですが、近年労働省の監査が強化され、指導が入ることが増えています。日系企業、特に工場において徐々に労働環境を整える動きが出始めているように感じます」と語っている。事前対応で労働環境を整備することが求められている。
(141 カンボジアの公的機関へ続く)