カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

2015年11月10日
カンボジア進出ガイド

【医療・医薬】

095 カンボジアの医療・医薬②(2015年10月発刊 ISSUE03より)

救急への対応 Medical Evacuation

094 カンボジアの医療・医薬①から続き
 国内の主な私立・公立の病院で救急治療を受けられる所もあるが、質にはばらつきがある。2、3次救急では、国外に搬送されるケースが多い。タイには数多くの国際標準の病院があり、診断機器、専門医、集中治療室での治療が可能。カンボジアからバンコク、またはシンガポールなどの医療適格地へ搬送される場合は、高額な費用がかかるため(参考:専用機での搬送費、約2~4万ドル。入院費、手術費等別途)、海外旅行保険に加入しておく必要がある。また、医療アシスタンスサービス(緊急搬送も含む)を提供している病院・企業とあらかじめ契約を結んでおくことも可能である。2015年8月には、24時間ホットライン・緊急駆け付けを軸としたサービスを提供する日系企業も現れている。

保険を選ぶ際のポイント What to consider when choosing health insurance

 カンボジアの医療費は先進国に比べて割安である。しかし、社会保険や国民健康保険がある日本と違い、医療費は100%本人の負担となるため、海外旅行保険の存在は大きい。インターナショナルSOSプノンペンクリニックの日本顧客サポートマネージャーの奥野留美子氏は、在住日本人の保険加入状況について、「日本の海上火災保険会社が発行する海外旅行保険の中で、一般的に大手企業様が被保険者である企業包括保険は保障内容が小額のものが多いです。現地採用の方には十分な保障内容の海外旅行保険をお持ちの方、保障内容が不十分な海外旅行保険をお持ちの方、カード付帯海外旅行保険をお持ちの方、保険は全くなく小額の現金のみ所持されている方などさまざまです」と語った。契約する保険の見直しが適宜必要である。歯科の海外旅行保険については、普通の海外旅行保険には歯科治療が付帯されているものは少ないが、一部の民間保険や欧米系の保険にはカバーされているものがあり、日本の国民健康保険の加入者であれば海外治療でも保険の一部金還付を申請できる。なお、還付申請の際には、申請書・領収書・診断書(診療内容明細書)が必要となるので忘れずに取得しなければならない。

カンボジアでかかりやすい病気 Staying Healthy in Cambodia



 当地では日本とは違う環境であることを踏まえた健康管理が必要になる。蚊などに媒介されるウイルスや感染症、細菌・寄生虫による急性胃腸炎や生水にも注意が必要である。ケン・クリニックの奥澤医師は、「受診される方でよくある病気や外傷は、かぜや急性胃腸炎、デング熱、チクングニア熱が多いです。また、インフルエンザや、ひったくりや交通事故による傷・骨折・捻挫なども多いです。デング熱は蚊に刺されないようにするしか予防法はありません。プノンペンにはマラリアを媒介する蚊がほとんどいませんが、逆にデング熱は都会に多い蚊です。蚊だけではなく、虫刺されで来院する方もいます。ダニ・シラミ・アリなど、朝起きたら刺されていたということがあります。さらに、こちらでは結核を患う方も多く、日本では入院し、隔離が必要な病気を患った患者でも外を歩いていたりします」と語っている。また、サンインターナショナルの荒木医師も、「カンボジアではまだ風土病も多く、市内で赤痢、コレラ、食中毒、デング熱なども身近に見かけます」と注意を呼びかけている。

 また、サンインターナショナルの久保医師は、「経済発展が著しく、建設ラッシュや自動車の急増による大気汚染は深刻です。中国同様にダニ、かび、PM2.5などの呼吸器の汚染物質が室内外問わず多く、気管支喘息などを引き起こす可能性があります」と述べた。
096 カンボジアの医療・医薬③へ続く


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