【法務・会計】
(027 カンボジアの法務・税務・会計③からの続き)
ルール整備はされていて、更に改正は続きながらも、その運用状況にはいまだに難あり、という一筋縄ではいかない法律環境において、ヴィーディービー・ロイのエドウィン・ヴァーダーブルッゲン氏は、企業のパートナーとなる専門家のあるべき姿についてこう語る。「法律によればこうですよ、と言うだけなら簡単で誰にでもできます。困り果てたクライアントが来るのを待って、法律に関する質問に答える。小さな調査書を渡し、法律ではこうなっていますよと助言して、あとは幸運を祈るだけ、そして請求ですね。こんなやり方では、カンボジアの企業法務の問題を解決することはできません。より踏み込んだ手法が必要となるんです。問題を解決するためには、具体的にどの省庁と、いつ、どうやってやりとりして、いくらぐらいで済ませるべきかといったような 、極めて実践的な経験と知見が必要とされるのです」。
カンボジアで20年以上の歴史を持つ、シャーロニ&アソシエイツのシニアパートナー、ブレットン・G・シャーロニ氏も実践的なアドバイスと してこう語る。「法律を順守すると決めた以上は、よくありがちな“政府関係の親族です”と言い寄ってくる仲介人などは相手にしないことです。問題に直面した時、彼らは安易な提案をしてくるでしょうが、その関係者が抜け、万が一あなたがやるべきことを手順通りやっていないということが表面化した時、あなたは大きな代償を払うことになるでしょう」。法律条文や判例を机上で講釈する専門家よりも、いかに実践的に顧客の法律・会計実務や諸問題と向き合い、解決に向けて共に動いてくれるか。専門家としての資格や肩書きよりも、リアルな実務経験と協業スタイルがパートナー選びにあたっての重要なポイントとなるようだ。