カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

CAMBODIAN STAFF INTERVIEW
日本人は仕事に厳しい。
褒められたことがとても嬉しかったです。
age29
JAPAN FARM PRODUCTS
ゼネラルリーダー 
フン・トラー
1987年生まれ。タケオ州出身。高校生の頃、日本語の塾に通い日本語を学んだ。卒業後は単身でプノンペンに移り住み、2年ほど絵を学んでいた。その後、日本語学校に通い日系企業やNGOなどの経験を経て、現在の会社に就職。日本人社長の下、働きながらマネジメントスキルを身に付けてきた。3年経った現在では、総括リーダーとして4つの部門13人のスタッフをまとめている。
厳しい日本語学校の入学を敢えて選んだ。忙しい国ニッポンは本当だった

 カンボジアで有機野菜の生産や販売を中心に毎日が忙しいトラーさん。日本語との出会いは、今から約10年前の高校生の頃、田舎の塾の先生が話す外国語が格好良かったのがきっかけ。その外国語が日本語だと知り、急に日本に興味を持ったのだ。その頃、周囲には日本という国を知っている者は少なかった。

 高校を卒業し、プノンペンに来た。とある大学に奨学金で入学する試験に合格したが、教え方が厳しいと当時から有名だった日本語学校に入学を決意した。「どれだけ厳しいか興味がありました。でも、想像していたより厳しかったです。一番厳しかった先生が、今は一番大好きな先生で。今も感謝しています」。

 忙しなく働く日本人の先生たちを見て、日本は忙しい国なんだという印象を持った。時には日本から学校を見学に来た日本人に習慣を聞いたが、やっぱり忙しそうだと思ったと言う。「働くという視点で日本という外国を見ていました。当時はカンボジアに日系企業は少なかったけど、いずれ多くなるだろうと思っていました。今の会社の計らいで日本に初めて行くことができました。でも、実際に行ってみて、日本は本当に忙しそうな国だった(笑)」。

一つ一つ仕事を覚え、キャリアアップ

 これまでNGOや工場などで通訳の仕事をしていたが、以前より農業の仕事に興味を持っていた。人材会社CDLに求職登録をした後、2012年に現在の日系企業を紹介され就職した。いろいろな作業を経験させながら人材を育成したいという社長の意向で、初めは畑でオクラ作りをすることになった。畑を開墾するところから始めたが、炎天下での作業は想像以上に大変だった。

 畑仕事に慣れると、今度はトゥクトゥクカーで農作物を運搬した。「自分のバイクで運転テストをしましたが、トゥクトゥクカーの運転はバイクと比べて難しいんです」。運搬作業を覚えると、今度は工場でパッケージ作業を任された。パッケージ方法が決まっておらず、試行錯誤しながら進めたのも良い経験だ。

 そして、遂には農地開発の仕事を任され、契約栽培農家を探すため、農村をかけずり回ることになった。諦めずに仕事を続け、着実にキャリアアップしていった。
「仕事に厳しい日本人と一緒に働くことで、いろいろ勉強ができたと思います」。

遂に管理職に昇進。これまでの経験をフル活用して乗り越えたい

 責任感の強さやまじめな性格、これまでの勤務態度が評価され、今年1月から13人の部下を持つゼネラルリーダーという管理職に就いた。仕事も難しくなった。これまで経験してきた作業だけでなく、会社としての新しい取り組みも任されることになった。また、自分の作業をしながら、13人の部下の仕事もみなければならなくなったため、プレッシャーも今までとは比べ物にならない。

 そのような中で、お得意先から急な注文が入るときもあるが、そんな時こそ、仕事のやりがいや、部下を持つ喜びを感じている。
 「部下のスタッフに、お客様が急いでいるので早く作業してください。でも、ちゃんとキレイにパッケージしてくださいと言ったら、そのとおりに作業してくれたことがともて嬉しかった。」

 急な注文に対応するために、自社農園で様々な野菜を作っているが、最近はオーダーを予想することができるようになった。
 「足りなくてもダメ、余ってもダメな仕事だから、スタッフのマネジメントだけでなく、オペレーション全体で考えて行動しなければなりません。でも、時にはオーダーの予想が外れることもあります」。

 また、コンポンスプー州の契約農家に、都市部でどのように売られているかを説明し、ときには改善策も提案している。なかなか言うことを聞かず、約束を守ってくれないのが悩みの種だが、部下と共に困難を乗り越えようと頑張っている。
手厳しい日本人のお得意様からの課題も、そうやって一つ一つ乗り越えてきた。

 「ある取引先の方が、青果専門の物流会社をやっていた元社長さんで、とても厳しい方でした。3か月間くらい、ずっと怒られていました。スタッフも怖かがっていましたが、一緒にチームで頑張りました。でも、最後は野菜の品質とサービス、コミュニケーションが良いと褒められて、すごく嬉しかったです」。

一緒に働く日本人のコメント
Comment by a Japanese Colleague
CEO
阿古 哲史
Ako Tetsushi
 トラーにとって、私たちJFPという日系企業で働いた3年間は、色んな事に挑戦して失敗を繰り返しでした。そのなかで、たくさんの気付きがあったと思いますし、更なるステップアップのために何が必要かをより理解してくれました。特に最近の1年間のトラーの成長は私も驚くことばかりでした。プレッシャーも大きく感じているかも知れません。しかし、新しい役職でも毎日考えながら会社と共に成長してくれています。彼なら、この新しい挑戦を乗り越えて、さらなるステップアップをしてくれると信じています。もちろん、彼だけでなく、同じように責任をもって仕事に取り組んでくれるカンボジア人スタッフが他に何人もいます。彼らや入社してくれるメンバーに対して成長できるチャンスを提供し続けられる会社を作っていきたいと思っていますし、私自身も共に成長したいと思っています。

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