カンボジア関税消費税総局(GDCE)は、特別投資プロジェクト(QIP)向けの製品輸入に対する検査体制を強化し、特に米国市場への輸出品に対する取り締まりを強化している。今回の措置は、2024年5月27日から実施されている。
GDCEの声明によれば、「同局は、QIPによる製品加工・輸出に使用される輸入原材料について、物理的検査に重点を置いた強化策を開始した」という。不正が発見された場合は、該当商品を押収し、違反に対する法的手続きを進めるとした。一方、申告内容に準拠している場合は、輸入手続きを円滑にし、生産チェーンに貢献するとしている。
この動きに対し、カンボジア繊維履物旅行用品協会(TAFTAC)は、5月27日付の税関ガイダンスに基づき、会員に注意喚起を行った。声明では、「織物などの完成品または半完成品の輸入は、政府の事前許可(Outward Processing Arrangement Mechanism)なしには認められない」と明記した。
現在、カンボジアには衣料品、履物、旅行用品を製造する工場が1,500以上存在し、約100万人が従事している。
背景には、2024年4月3日にトランプ前米大統領がカンボジアからの輸入品に対して報復関税を発表したことがある。これを受けて、カンボジア政府は米国向けの輸出体制を見直し、不正な原産地表示の防止や、原産地証明書の厳格な運用体制の整備を進めてきた。
これに関連し、政府は経済財務省および商業省の間で、米国市場向け輸出品の原産地詐称防止に関する省庁間宣言を発出。また、一定品目の原産地証明書の申請・発行手続きに関する商業省令を通じて、透明性の高い制度構築と外国投資家誘致を目指している。