カンボジア政府は2024年の特別投資促進プログラムの一環として、プレアシアヌーク州における2016年以降に着手された未完の建設プロジェクトに対する不動産税の免除措置を2028年末まで延長すると発表した。これは経済財務省(MEF)が水曜日に明らかにしたもので、当該措置はプログラムの対象範囲を問わず、すべての未完工事案件に適用される。
さらに、これまで税制優遇などの支援を受けてこなかった事業者に対しては、プレアシアヌーク投資促進作業部会(Working Group to Promote Investment in Sihanoukville Province)への申請により、追加的なインセンティブを求める道も開かれている。
カンボジア中国商会(CCCA)副会長のロール・ヴィチェット氏は、「不動産投資において重要なのは、税制優遇よりも収益性や回収期間、資産価値の上昇見込みである」と述べた。同氏は、プレアシアヌーク州がかつてオンラインカジノ合法化により急成長し、ホテル・娯楽施設への投資で資本回収が早まると期待されたことに言及した。
現在、カンボジアではオンラインカジノの運営は違法であり、2019年末以降すべてのライセンスが失効している。かつての合法時代の投資誘導効果は、すでに制度としては存在しておらず、新型コロナウイルスの影響も相まって、収益性や資産価値の見通しも不透明となったことから、多くのプロジェクトが頓挫した。
こうした状況を踏まえ、ヴィチェット氏は「政府が未完物件に対して年利6~8%程度で5年以内の収益保証を提供すれば、外国資本の誘致に繋がるだろう」と提案した。また、「こうした支援はカンボジア人投資家にも適用されるべきであり、同州を多機能型経済特区および地域輸出拠点へと成長させる政府のビジョンに合致する」と述べた。
同氏は、中国政府が「一帯一路」構想を通じてシアヌークビル特別経済区(SSEZ)の整備、国際空港の拡張、カンボジア唯一の高速道路の建設など、プレアシアヌーク州の開発を支援している点も強調した。
こうした動きに呼応し、政府は2025年第1四半期にプレアシアヌーク州における投資プロジェクト74件を承認し、総額8億4,800万ドルに達したと発表した。4月上旬に開催された第15回投資促進作業部会では、未完プロジェクト5件と新規プロジェクト13件(総額2億500万ドル)が承認された。これにより金属精錬、廃棄物処理、紙製造、オフィスビル、ホテル、寮、テレビ局などの分野で約3,000人の雇用創出が見込まれる。
同作業部会は、2025年2月には1,400万ドル相当の14件、1月には5億6,400万ドル相当の42件を承認している。特別促進プログラムでは、財政支援、公共サービス手数料の免除、各種許認可手続きの簡素化など、複数の優遇措置が設けられており、年内の事業実施が推奨されている。