カンボジア商業省(MoC)は、2029年に予定されている後発開発途上国(LDC)からの卒業に向けて、貿易パートナーと有利な貿易優遇措置を確保するための交渉を進めている。LDCステータスを失うことで、カンボジアは輸出における優遇措置を失う可能性があるため、この交渉が重要である。
優遇措置を失えば、カンボジア製品の競争力が低下し、特に衣料品、繊維製品、農産物など主要な輸出品に影響が出るため、カンボジア企業が国際市場で価格競争に勝ちづらくなる可能性がある。また、企業が貿易コストの増加を見越して投資を控えることで、経済成長に必要な資金流入が減少する恐れもある。
現在、欧州連合(EU)は、カンボジアのLDC卒業を支援することを約束しており、新たな特恵制度についての協議を行う準備ができていると表明している。
ボツワナやナミビアがLDC卒業後にEUとの経済連携協定を結ぶことができた要因は、地域ブロックの活用、政治的安定、経済の多様化、交渉の柔軟性、そして長期的なパートナーシップの構築にあった。カンボジアがこれらの要素に取り組み、持続可能な経済成長とガバナンスの改善を進めることが重要だ。
商業省は、既存の輸出市場の安定を確保し、カンボジア製品の新たな市場へのアクセスを拡大するために、LDC卒業後の経済的影響を最小限に抑えつつ、長期的な経済成長を目指す戦略的枠組みを構築したと発表している。
カンボジアの主要な貿易相手国には、中国、アメリカ、EU、日本、タイ、ベトナム、韓国が含まれており、これまで依存していた衣料品や繊維以外にも、電子機器、米、ゴム、カシューナッツ、バナナ、ソーラーパネル、自転車などへの輸出を多角化している。