カンボジア関税消費税総局(GDCE)のデータによれば、2024年最初の8ヶ月間で鉄鋼の輸入が前年同期比で59.2%増加した。
この急増は、国内の建設や不動産市場の回復を示すものとされているが、実際のところ、その回復の実態にはまだ不透明な部分が多い。建設市場は、2023年までは相対的に低迷しており、2019年以前の活況からは大きく後退していた。
2024年の最初の8ヶ月で、鉄鋼輸入の総額は4億400万ドルに達し、前年同期の2億5千400万ドルと比べて大幅に増加している。また、8月単月では、鉄鋼の需要が前年同月比で35.1%増加し、輸入額は5千100万ドルに達した。
この急激な輸入増加が果たして実際の建設需要を反映しているのか、それとも一時的な要因によるものかについて、価格の変動や政府の大型インフラプロジェクトの有無など、輸入増加の具体的な理由が不明なため検証が必要だ。
なお、この建設資材の輸入増加は、カンボジア全体の貿易量の改善にも関連している。2024年9月時点で、カンボジアの総貿易量は360億ドルに達し、前年同期比で16.5%増加した。
プノンペンに拠点を置く不動産コンサルティング会社CBREカンボジアの報告によると、2024年の不動産市場は、オフィス、商業、住宅部門において新規プロジェクトの立ち上げが減少し、販売価格や賃料が引き続き低下している状況にある。一方で、高級コンドミニアム市場は安定しており、売買価格は比較的維持されているが、他のセグメントとの間で市場の成長が乖離している点は注目に値する。
CBREの報告は、製造業への外国直接投資(FDI)の増加によって、工業用不動産市場が成長していることも指摘している。2024年上半期には、新たに120ヘクタールの工業用地が市場に追加され、50年間のリース条件で1平方メートルあたり平均61ドルのリース価格が提示されている。
政府が進める戦略的なインフラ改善も、今後さらなる投資を呼び込む要因になると予測されているが、これが全体的な不動産市場の回復にどれだけ寄与するかはまだ未知数だ。