(c)Phnom Penh Post
カンボジア・シェムリアップの観光名所であるクーレン山で、周辺の住民数百人が立ち退きを命じられることが分かった。プノンペンポスト紙によれば、クーレン山のユネスコ世界遺産登録を確実なものにするための施策だという。
シェムリアップ環境局の局長は4日、「国立公園の環境に影響を及ぼしているため、プリア・アン・トム周辺の約300世帯はすぐに違う場所へ移動してもらうことになる」と述べ、事実を認めた。
同局長によれば立ち退き計画はいまだ不明確で、具体的な日程は未決定だという。20年以上居住している人々に関しては立ち退きを命じないほか、転居先はクーレン山のふもと周辺で現居住地にほど近く、より広い土地が用意される予定だ。金銭的補償については言及されなかった。
今回の計画は、観光省からアンコール遺跡保存開発国際調整委員会(ICC)への要請が契機となっている。
2000年から居住している男性住民は、「いま住む場所からクーレン山ふもとまでは20キロほど離れており、立ち退くつもりはない。国立公園に悪影響を及ぼした覚えもないので、みんな非常に混乱している」と話す。
一方で別の男性住民は、「長くここに住んでいるので立ち退きたくはないが、国立公園のためになるなら構わない」と話した。