商工中金は2月15日、同行の京都支店が「グローバルニッチトップ支援貸付制度」を利用し、京都銀行と協調して、アパレル副資材製造業の株式会社ムラタに対しカンボジアとベトナムの現地法人設立に必要な資金1億5千万円を融資した(商工中金1億円、京都銀行5千万円)と発表した。
「グローバルニッチトップ支援貸付制度」は、同行が政府の「国家再興戦略」に沿って特定分野に優れた中小企業の海外進出を民間金融機関と協調し後押しすることを目指し、2014年4月に設立した。日本国内に本社を置く、一定条件を満たした中小企業に対し5億円を限度額に融資をする。事業の成功・失敗によって利率は異なり、失敗した場合の利率は0.6パーセントとなる。
株式会社ムラタはタグ、値札、洗濯ネームをはじめとするアパレル副資材全般を製造しており、特に印刷加工が難しい素材のビニロンフィルム製の繊維包装加工を強みとしている。現在、中国の青島を生産拠点として国内外のアパレルメーカーに幅広く納入している。
今回商工中金はムラタが策定した海外事業計画を評価し、日本貿易振興機構(JETRO)京都事務所と連携して進出候補地の情報提供を行うとともに京都銀行と協調して必要資金を融資した。ムラタの事業計画では日系アパレルメーカーの東南アジアにおける生産拠点拡充の動きに対応するためカンボジアとベトナムに生産工場を整備し、新規の販売先も含めて売り上げの増強を図るとしている。現地法人の設立はベトナムが2016年9月にホーチミン市(資本金16万6千ドル)、カンボジアが同年4月にバベット地区(資本金80万ドル)を予定している。
商工中金は国内外104店舗に「中小企業海外展開サポートデスク」を設置しており、資金面のみならず各種相談や情報提供を行い、対象企業の戦略的な海外事業を支援していくとしている。