カンボジアの中小企業の多くは公務員の汚職がビジネスへの阻害へとなっていると感じていることが、TIC(トランスペアレンシー・インターナショナル・カンボジア)による報告で明らかになった。
「中小企業(SME)の汚職認識報告書」と名づけられた同報告書では、中小企業に対する聞き取り調査を元に詳細な現状が浮き彫りとなった。調査対象は代表者や幹部、ゼネラルマネージャークラスで、それぞれの業種における汚職の認識の聞き取り調査を行った。
「カンボジアにおける中小企業は長らくひっそりと事業を運営してきた。正式なビジネスとして登録しているものとそうでないものもあり、そのような背景も公務員による汚職の現場に遭遇しやすい状況であるといえる」と、TIC顧問のPreap Kol氏は報告書で述べた。
聞き取り対象となった100社のうち57社は汚職が企業の成長阻害の外的要因になっていると答えた。また47社は企業内で汚職に遭遇した経験があると答えている。数字の相違は汚職に対して自社の現状を公表したくないと遠慮しているからではないかとTICは見ている。
「我々の調査では、公務員の汚職が中小企業(SME)の事業運営にもたらす障害度合の認識を裏付けるものだった」とTICのディレクターPech Pisey氏は述べた。
また、中小企業に対する法制度の周知不足なども汚職が蔓延る原因だと報告書では公表している。「多くの中小事業所経営者は該当の法規制に対して知識もなく、そのため第三者機関を通して事業所登録やその他関連業務を外注することも良くあることだ」と同氏は述べた。回答した53社は法制度の施行の不備が、公務員の汚職や不当な賄賂の要求に繋がっていると答えている。
法制度の施行の不備は日々コストとしてのしかかっており、事業所登録の最中に急な立ち入り検査に遭遇する場合もあるという。参考までに調査に応えた100社中、61社のみが事業所登録を自社で商業省もしくは地方法務局に出向いて行ったと答えている。
現在汚職対策の先陣を切っているAnti-Corruption Unit(ACU) の周知徹底も限界があるようで、回答者のうち32社のみが重大な問題に遭遇した時はACUの制度を活用すると述べた一方、34社は通常の司法制度を活用すると答えた。
商業省の商業登記部長Ok Dararith氏は自身の部署での汚職の存在は否定する一方で、多くの会社代表者が直接商業省に足を運び、申請業務を行うことが少ないと述べている。「商業省内部で賄賂を要求することはありません。しかし、多くの事業所代表者は第三者に頓雑な申請業務を依頼しています。その第三者が搾取している可能性は大いにあります」と同氏は水曜日のプレスリリース後に述べると共に、「今後は、オンラインで事業主が登録作業を行い、我々が審査後に諸費用は銀行送金を活用するシステムの導入を本年末頃開始の予定で進められています」と新しい電子登録システムが年内に実施されると付け加えた。これにより中間搾取者をなくすことが狙いだという。
TICのPisey氏は「商業省は改革の最中で現在もより良い方向へ進めるべく内部で努力していることが見受けられます。」と商業省の能率化の予定を歓迎している。「ただし、商業省の努力のみでは中小企業が直面している問題を全面的に解決することができません。その他の関連省庁やACU、司法制度および税務関連省庁すべてに責任があります。問題解決に向けて関係者すべてが協力していく必要があるのではないでしょうか」と締めくくった。
.
本記事は翻訳・翻案権の許諾を得て掲載しております。