2016年12月2日
―――カンボジアにおける通信業界はどのように変化していますか
トーマス・ハント(以下、ハント) 通信会社にとっての従来の主な利益源は音声通信やSMSでしたが、今はデータ通信へと移り変わっています。全ての人がデータ通信によって、アプリを使ったり動画を見たりしていて、世界的な現象といえます。
カンボジアでは、その変化速度が他国よりも速いようです。ですがカンボジアでは固定インターネット回線インフラがまだ十分でなく、家庭がネット環境に無かったり銅ケーブルが無かったりするので、ネット接続で主に使用されるのは携帯電話・スマートフォンです。人々の習慣は変化し、電話するよりも、LINEやMessengerなどのアプリを使ってテキストを送るようになりました。カンボジアでは、人々は常にFacebookを利用しています。これは大きな変化ですね。
私がカンボジアへ来たときオペレーターは9社ありましたが、現在はセルカード、メットフォン、スマートの3社です。他に小規模オペレーターが数社ありますが、音声通信シェアを伸ばそうとしています。
―――その変化にはどのように対応してきましたか
ハント 我々は、特にデータネットワークに集中して投資してきました。今年2016年の投資額は過去最大で、4G通信網整備のために7500万ドルを費やします。我々は今年初めに3G通信網の展開をやり遂げ、全通信基地局は3G対応していますから、次は4Gですね。4Gは国際電気通信連合から認められた国際基準の通信規格です。4G LTE はデータ通信に特化しており、我々は2年半以上前にカンボジアで初めて導入しました。
競合他社は4Gにあまり投資していなかったので、その隙にこれまで以上に投資を加速させているところです。すでに基地局の45%が4Gを導入しました。通信が速くなってストリーミング再生などに最適なため、ユーザーも驚くべき体験をするでしょう。
またスマートは、データやコンテンツに関するサービス提供にも力を入れています。将来的戦略として音楽に着目し、約1年前に「スマートミュージック」というカンボジア初となる公式音楽ストリーミングサービスを開始しました。国際的に有名なアーティストや、ローラ・マム、クメン・クメールなどカンボジアの若者に人気の旬なアーティストと独占契約し、彼らのオリジナルコンテンツを提供してもらっていますから、サービス自体も益々人気です。利用者にはCDをわざわざ買いに行く必要が無いというメリットがあるだけでなく、アーティストもそこからきちんと収入を得ることができます。
音楽だけでなく、動画ストリーミングサービスもYouTube以外にカンボジアに登場するでしょう。NetFlixは既に上陸しました。我々もパートナーシップベースで、カンボジアでの動画ストリーミングサービス開始に向け動いているところです。動画コンテンツの需要は高いですよ。
(取材日2016年8月)
(次回へ続く)