2017年8月2日
(前回の続き)
――外国人は国立病院で診察を受けることができるのでしょう
ソムアート・ウォンコントーン(以下、ウォンコントーン) 法律上は可能です。ただ実際はずいぶん待ったにも関わらず、わずか数分の診察で簡単な薬しかもらえないこともあるでしょう。カンボジアに限らずタイも日本もそうですが、外国人はその国の医療機関は使いづらいでしょうね。民間でしたら、まず患者さんも少ないし、医師も英語を話せたり、外国人の診察に慣れています。そしてやはり、保険会社と連絡できます。
――事故にあったとして、診察に行くときに注意すべきことは何ですか
ウォンコントーン 事故にあった時に備え、どこの病院に行きたいかをあらかじめ決めておくべきです。例えば救急車を呼ぶ事態になったとして、行先を伝えなければどこに連れていかれるか分かりません。2番目は、保険を持っているかどうかが大切です。常時持っていれば大丈夫。あとは、言葉が通じるかどうかです。日本人医師のいる病院や、日本語通訳者のいる病院に行くのが便利でしょう。
――カンボジアで救急車を呼ぶときはどうすれば良いのですか
ウォンコントーン 病院の所有する救急車にかけたり、119番に電話します。弊院も救急車をもちろん持っていますし、日本語通訳者もいますから、番号を知っておいて良いと思います。119番に電話すると、カンボジアではコールセンターが少ないので、来るのに時間がかかります。私立病院に直接電話して救急車を呼んだほうが早いでしょう。
ウォンコントーン――ロイヤルプノンペン病院の役割についてどうお考えですか。
ウォンコントーン 国全体の医療レベルを上げるには、政府や政府間の協力が必要不可欠です。私たち民間セクターとしてはそんな大仕事はできませんから、自分たちがいるところで最善の病院を作り、皆さんに安心して使っていただけるように運営していくしかありません。
ご存知の通り、この国にはあまりいい病院がありませんから、カンボジアの人やカンボジアに住む外国人が病気や怪我をした場合に外国へ搬送しなければいけません。妊娠した時も、何回か外国へ行かなければいけないなど、非常に不便です。ですから、私たちの役割は皆さんの不便に思っているところを解消していくことです。
もう一つは、カンボジア国内の病院のモデルになることです。私たちは他の病院に刺激を与えることができるでしょう。なるほど、病院はこのように運営していけば、このように投資していけば良いんだな、商売として独立できるんだなと分かっていただければ、皆さんのためになると思います。そこまでいけば、この国にも多少貢献ができるのではないでしょうか。(取材日:2016年7月)