カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

TOP INTERVIEW
トップが語る、カンボジアビジネス(2014/9発刊1号より)

歴史や文化を理解することなくして、成功することはできません

カンボジア、そしてカンボジア人スタッフとの付き合い方。

 彼らのモチベーションを保つために、目標の達成や会社のビジョンの共有は有効だと思います。しかし、カンボジアでより有効だと思うのは個人と個人の関係性です。個人としていい関係性を築くことは、彼らのモチベーションに大きな影響を与えます。何よりも心地よい関係性が大事になります。目標の達成や結果に基づく評価と、人間的な関係性のよりよいバランスを取ることが求められます。会社の文化と、それをとりまく環境や文化が完全に一致するということはないでしょうから、その間でどうやってうまくバランスをとるかということが重要です。

 これは簡単なことではありません。会社の目標や指標にそこをどう取り込めるかで、ずいぶん違いが出てくると思います。機械的な仕組みを求めるよりは、カンボジア人のサービス精神の強さなど、得意分野を伸ばしてあげるという事が時に必要かもしれません。どこの国にいてもバランスを取る必要がありますし、必ずしも企業側の要望と完全に一致するものではないかもしれませんが、その妥協点を探りだすのも重要ですね。

 これまで私はさまざまな国で働いてきましたが、それぞれの国の違いは本当に多岐に渡ります。文化の面でも、ビジネスの面でもたくさんの違いがありました。それらをしっかりと時間をかけて理解し、敬意を払うことが肝心なのだと思っています。具体的な点で言えば、モチベーションに関しても国によって違いが出ます。国ごとの歴史も、文化の違いに大きく影響しているでしょう。まずは歴史や文化をしっかりと理解すること無くしては、どんな業界でもリーダーやマネージャーとして成功することはできません。その人たちの文化と折り合いをつけていかなくてはならず、時には妥協も必要です。

進出する日系企業へのメッセージ

これまでにも何度も日本を訪れているナッキー氏。日系企業に対する思いとは。

 幸運なことに、私は過去何度か日本のお客様と仕事をする機会がありました。私は日本の会社の協調性の高さを非常に尊敬しています。協調性から生まれるスタッフへの配慮は、日系企業の成長の理由の一つだと思っています。語学などの社内教育や福利厚生、スタッフ間の助け合い、仕事以外の付き合いなどは、カンボジアでのビジネスと相性がよいでしょう。このような日系企業の特長はカンボジアでも期待されていると思います。

 そのような基準を持った企業が進出すればするほど、他国からの進出企業も是正していかざるを得なくなると思います。経済効果以外にも、私はその辺に注目しています。カンボジアの製造業は以前はもっと単純な作業がほとんどでしたが、今後日系企業の進出により複雑な作業工程も増えていくかもしれませんね。

 日系企業のみなさんには、ぜひカンボジアに来てほしいと思っています。理由はいくつかあります。もうすでにいくつかの成功事例が見え始めているので、進出を検討する企業にも確固たる自信になるかもしれません。投資に関してカンボジアは開かれていますし、有利な法制度もあります。現在も法令の見直しが進んでおり、外国人投資家にとってはさらに魅力的になる可能性もあります。

 また、道路や港湾、貿易や通関などのビジネスに必要なインフラも、スピードはまちまちですが、かなり整ってきています。電気や燃料などは近隣諸国に比べても高いと思いますが、今後上がり続けるという事はないと思います。経済も高い成長を続けていますし、将来はとても期待できるでしょう。ビジネスに関してはいい環境です。そして、プノンペンにはいいゴルフ場もあるので、ぜひ日本の方ともゴルフをしてみたいですね。

  • ANZ Royal Bank (Cambodia) Limited
  • 設立年: 2004年
  • 資本金: 71M USD
  • 社員数: 500人
  • http://www.anzroyal.com

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