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TOP INTERVIEW
トップが語る、カンボジアビジネス(2014/3発刊0号より)

競合がひしめくなかで、決して有利な状況ではなかった。
当時の競合とは異なるコンセプトを打ち立て、積極的な合併を繰り返した。2013年には、スマートアクシアタが誕生、加入者は5万人以上、国際ローミングも147か国で実施されている。

他社との本質的な違いとは

 私達がカンボジアに来たころ、三つの大きな通信会社がありました。10年以上の実績と、とても広い通信網、さらにはより条件の良い事業許可証を持っていました。私達が許可されていない事業範囲をカバーしているといった具合です。2006年、2007年に進出していた企業も私達の持っている許可証よりも良いものを持っていましたね。
 私達のあとも、ビーラインという会社が進出してきました。彼らは世界的な通信会社の子会社で、1億円、最終的には2億円もの資金を投入して市場に参入してきました。私達の会社の株主は、金融機関系の投資家たちなので、そこまでの資金力はありませんでした。

 競合が多額の資金を浪費している一方で、私達はコスト効率を最大化するよう腐心しました。競合は過剰なまでの投資をし、カンボジアの市場そのものを買わんとする勢いでした。お金を窓から捨ててるようなもので、カンボジアの人々が買えないような高級品を売ってたんです。私達は、24時間対応のコールセンターを開設したり、年中無休のスマートショップを開くなど、ブランディングと利用者に対するサービスに力を入れてきました。

 このコンセプトは、当時の市場のものとは根本的に異なっていたんです。競合のコンセプトはカンボジアに合わせたものではなくて、バンコクやホーチミンに合わせたようなものだったんですね。私達は、今後伸びるであろう若者層をターゲットに、ブランディングと利用者サービスを重視してきました。これらの本質的な違いが、スマートが競合に先んじることができた理由だと考えています。

 2011年は競合の一つであるスターセルとの合併を行いました。通信業界における統合はこの年が初めてで、業界にとっても一つの節目だったと思います。この統合により、スマートは業界第三位となりました。劇的にサービスの提供範囲が広がり、3Gの提供も始まりました。携帯インターネットに関しては、カンボジアで一番の企業であると言えると思います。合併は成功し、他社が出来ないような経営のできる通信会社が生まれました。

カンボジア第二位の通信事業者として

2012年の12月にハローアクシアタ(HelloAxiata Company Limited)との合併を発表しました。これによりスマートは、アクシアタグループの一員となりました。アクシアタグループは東南アジア・南アジア最大級の通信企業で、周辺地域で2億5千万人の人々にサービスを提供しています。その結果、スマートは競合に大差をつけながら、カンボジア第二位のポジションについています。

 この5年の間、スマートは合併を積極的に行ってきました。2回の合併を経験している間に3~4社が潰れ、プレイヤーは5社ほどになっていました。現在では、新しい技術を持って新規参入した会社を含め、おそらく7社ほどがこの業界のプレイヤーです。

 スマートは若くて機動力のある会社だと思っています。特に都市部の若者の間では、とても高いシェアを誇っています。また、最近は技術的な先進企業になるべく、カンボジアではじめて、プノンペンにおいて4GLTEのサービスを始めました。これが現在までのスマートのストーリーです。

 スマートはカンボジアのGDPの約1%にあたる経済的な貢献をしています。これは、企業としては最大級の金額です。また昨年は、税金として約5,200万円を納めています。人々をつなぐだけでなく、経済的にも、社会にも国家にも価値を提供しています。


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