カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

カンボジア人を雇用する日本人の苦悩

この国を愛し、この国で生きていく覚悟を決めていても、悩み苦しむことがある。華やかなイオンオープンの背景には、カンボジア人スタッフの雇用をめぐり、苦悩する日本人経営者の姿があった。その現状をざっくばらんに語っていただいた。

電話一本で辞めていくカンボジア人たち
K.S
新規雇用したスタッフがいきなり辞めると言ってきました。電話一本で終わりです。オープン前に雇って、オープン前に辞めるスタッフ達。
 既存のスタッフがこれまで頑張ったからボーナスを出せと言ってきたり、他のスタッフがイオン内の他のお店で掛け持ちしていいかと聞いてきたり。
 イオン内部ですでに現地人同士で給料がいくらとか、条件がどうかという話が行き交っているらしいです。
 これまでも日本の起業家の方がやって来て、日本語が片言しかできないような子でも、可愛いからとか気に入ったからとか、境遇が可哀想だからとかいう理由で相場よりかなりな高給で雇っていき、その話を聞いた同じ資格も無いような日本語学校の勘違い生徒たちが、面接で平気であり得ない条件を逆オファーしてくる。引き止めようが、一切おかまいなしで即辞める。
 イオン内で日系企業だけでも集まって給料の幅を決めたり、イオン内で渡り鳥のように移っていこうとするスタッフを雇わないとか、情報共有し取り決めでもしないと、どんどん人件費が上がっていきそうな気がします。
I.K
日系企業とはいえ、ダメな会社は淘汰される時代がプノンペンでもすでに到来していると思いますので、ダメな従業員管理しかできない企業は、すべからくダメになると信じるしかないですね。給与カルテルとかは組んでも無駄な結果になる可能性が高いと思います。
 とはいえ、電話一本で辞めますとか精神的に厳しいですね。私の場合は、新卒以外は基本的に前職の会社の推薦状を持ってこさせるか、電話で勤務状況と退職時の状況を確認していました。
K.S
前の会社の推薦状を持ってくるのもいますが、あまり意味が無いような気もします。電話で退職時の状況や勤務状態を教えてくれるならいいと思いますが、うちで雇ってくれるなら今から辞めると会社に言いますってのが多いです
I.K
推薦状は円満退職かどうかの目安にしてました。求人するにあたり、現在就業中の人はそもそも相手にしていませんでした。いくら欲しい人材でも、他社に不義理を働けば自社に返ってくると考えていましたので。逆もしかりです。
 まあ昔から同じような人間は一定数はいたのですが、当時は他社の為に人材育成してるような気がして精神的に本当に厳しかったです(苦笑)。
K.S
おっしゃる通り不義理を避けたく、イオン以外の施設でも、同じ館内で働いてる子は雇わないようにしていました。
 問題は、働きもしてないのにいくらくれるの? とか、休みは? とか、アレコレと条件をつけてくるようなのが多いです。よく働いてくれたら黙っていても給料あげるからとかの浪花節は全く通じません。働く態度や能力に関係無く、何年働いてるからとか、職種で自動的に給料が上がると思ってるのが多すぎです。
I.K
さすがです!プノンペン自体が決して大きな都市ではないのに、同じ場所でジョブホッピングができる方が異常なはずなんですが。
経営者も日本でソコソコの経験があるはずなのに、どうして海外へ出た瞬間に忘れてしまうのか・・・。私は「カンボジアだから」ってフレーズが実は一番嫌いです。成功も失敗も、すべては経営者に帰結するものだと思います。
昇給テーブルを作って10年先までのキャリアプランを示し、福利厚生も15年前のカンボジアでは最高水準の手当てをしたりした経験もありますが、すべてが無駄でした。義理も人情もありません。その繰り返しで、カンボジア人スタッフを信用できなくなってしまいました。K.Sさんには尊敬の念を禁じ得ませんよ。
人員供給システムがカギ
H.K
カンボジア人スタッフはそういうものです! そういうものとして体制作っとくしかありません。
 「この人が欠けたら困る」という人がいてはならないのです。もちろん人員構成が日本と比べて冗長となり、人件費がかさみお小遣いが減りますが、心の平安にはかえられません。
K.S
おっしゃるとおりです。余分に雇って、辞められたら困る子を作らないのが、スタッフを勘違いさせない最善の方法と思います。
 これまでいろんな不正もされてきましたし、最初はすごく良い子がお金を目にすると変わってしまう。いかにお金に触れさせないか、いかに不正をできない仕組みを作れるかがここでは非常に大事です。
 辞めると言ってきたスタッフに理由を確認しようと、再度来てもらい面談したのですが、最初はマネージャーのセクハラとか、別の女性マネージャーが人前で大声で叱ったからとか言ってました。でも実は、もう一つ理由があって、イオンの別のテナントで職が見つかったそうです。
 うちよりも勤務時間が短く、給料が高く、昼メシまで出してくれるそうで、うちが給料をその会社と同じ位に上げてくれるならば戻って来ると言われたけど、もういいわと言いました。
 まだ入って1か月しか経ってなくて、オープンもしてなくてどれだけ戦力になれるかも分からんのに、はいそうですか、では給料上げましょうとは言えないです。この子の給料上げたら全員の給料を上げないとダメだしね。なんやかや理由を並べてたけど、結局は金みたいでガッカリです。うちの管理が悪いのか?
 ちなみに転職先は、8時間勤務の昼飯付きで160ドルだそうです。うちは9時間拘束で昼飯1時間休みなので、8時間勤務で120~130ドルです。いきなり20%も上げられますか? 1日も実践で働いてないし。
 今のスタッフも何かよそからいろいろと聞いたみたいで、福利厚生や昇給、残業、休日出勤手当やボーナスなんかについてアレコレと騒ぎ始めてます。上の子の話を聞くと余計にうるさくなりそうです。
 明日、40人一気に面接します。とりあえず絶対数を確保して黙らせないとね。何人使えるか?
解りませんが…。うちの条件決して悪くないはずですけどね。オープンのゴタゴタでホント疲れます。
I.K
面接40人、お疲れさまです!
K.Sさんの管理が悪いんじゃなくて、転職するカンボジア人に問題があるんです。しかしスタートが160ドルからってあり得ないですね。ブラフかも?
スキルが身に付いたら200ドル払うんですかね。それなら就職希望者は沢山いるでしょうね。そのテナントさんにぜひお話をお聞きしたいです。
(後編に続く)

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