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2016年6月10日
カンボジア進出ガイド

【建築・内装】

121 カンボジアの建築・内装③(2016年5月発刊 ISSUE04より)

内装 Interior

気候風土を理解した取り組み  Understanding the impact of climatic differences

120 カンボジアの建築・内装②から続き



 投資家や利用者が内装デザインに価値を見出している限り、内装業界は益々成長していく。ボンケンコンエリアを中心に、外国人やカンボジア人富裕層をターゲットにした飲食店がプノンペン市内に点在する。現在は店舗の内装スタイルが多様化し始め、経済発展と共にカンボジア人の感覚も表面的には変化がみられる。

 建築デザイン・プロデュースをするココチカムデザインの河内利成氏は、「お金をかければ良いものができるのは当たり前ですが、回収年数を考えると何でもかんでもお金をかけるわけにはいきません。全てにお金をかけ過ぎる傾向があるために、かえって敷居を高くさせてカンボジア人が入りづらいという悪循環を起こしている場合があります」と、ターゲットに合わせたメリハリの必要性を語った。

 また、設計や工法においても現地を理解した考え方が重要になる。「重工業が発展していないカンボジアでは、そもそもスチールが無いので外国から仕入れないと使えません。それだけでかなり高くつきます。建材はほとんどありません。そういった認識や、建材の選択のさじ加減が大事です。中国と同じように安く建てられるだろうという甘い考えを持った方が多い。大部分の発注者はこのような理由から、実際の費用よりも安く予算を見積りますし、また、その額で請け負ってしまう工事会社もあります。しかし、そのような工事業者は途中から資金の不足分を次々と請求しますので、対応の判断を場当たり的に求められ、結果的に高くなることもあります。余裕のある予算のなかで計画的に工事する場合と比較したら、ボロボロの状態で工事が進捗していくわけです」と、ココチカムデザインの河内氏は続けた。



 先進的なデザインで数々の実績を持つ内装会社、ザ・ルームのパヴェウ・シウデスキー氏は、「内装で最も重要なのは品質です。どれだけ安く見積を出せたとしても上質でなければ、その事業は失敗に終わるかと思います。内装デザインは非常に重要です。顧客の製品やサービスの品質保証にも関わってもきます。コンセプトにあった素敵な内装の店舗やブランドショップを訪れたとき、サービス内容や製品について知る前に、第一印象でお客様が良い判断を下すこともありますよね」と語った。いずれにしても進出には十分な準備や調査が重要だ。

サプライヤー Supplier

 C&Pのミース氏は、「AECによる影響として、国際的でグローバルなブランドの建設資材が成長市場を目指して流入するため、建設現場へはより安くより良い製品を供給出来ますが、非常に多くのサプライヤーが競合しなければならないと思います」と語る。



 電気温水器のリンナイ、電動工具のヒルティ、床材のペルゴなどの販売代理店である、カムコナ・トレーディングのエリダ・キムスルン氏は、「私たちの製品は全ての住宅や商業施設が対象です。日本や欧州から輸入する評判の高いメーカー、洗練された商品を取り扱っています。私たちはソリューションを提供することを第一にしています。商品を売ることに注力せず、顧客のニーズを汲み取り、どんな商品が最適か、どんなソリューションが一番かを提案します。また売った後も同様に大事です。もしアフターサービスやメンテナンスが無ければ一度のみの購入になってしまいますから」と語る。

 また同氏は、「建設業界をよく知っており、どの製品が良く、何が新しい技術か、何が売れるかのアイデアを沢山持っています。気になる製品を見つけたら、サプライヤーにコンタクトしますが、私たちはボンケンコンにショールームがあり、販売代理店も行っているのでサプライヤーから連絡が来ることも多いです。顧客は外国人とローカルの半々で、一番売れ行きが良いのは、リンナイの電気温水器ですね。豪州やニュージーランド、米国でも知られており、商品を信頼して買っていきます。お陰さまで売上金額も順調に伸びており、リンナイに関しては2倍以上に伸びています。ホテル等に向けては、国内の電気料金の高さからガスシステムの需要も伸びています」と付け加えた。価格的な競争力だけでなく、新たな価値の提案が求められる。
122 カンボジアの通信&ITへ続く


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