カンボジアに進出する日系企業のための
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2015年7月12日
カンボジア進出ガイド

【不動産】

033 カンボジアの不動産②(2015年4月発刊 ISSUE02より)

■ オフィスの賃貸 Office Rental

(032 カンボジアの不動産①からの続き)
 カンボジア経済及び不動産市場の安定的な成長を反映し、プノンペンのオフィス賃料は上昇している。ナイトフランクが発表している、アジア太平洋地域の主要な賃貸オフィスの指標では、2014年第4四半期の対前年同期伸び率の平均率が2.9%であるのに対し、プノンペンの一等地のオフィス賃料は実に26.8%増と大幅に上昇している。強い経済成長に投資しようとしている外国企業からの着実な需要を背景に、同年前期と比較しても3.2%増加している。

 CBREカンボジアによる2014年1月調査では、カンボジアのオフィスビルの平均賃料は18ドル/㎡。代表的なオフィスビルは2011年竣工のプノンペンタワー、2009年竣工のカナディアタワー、前述のヴァタナックキャピタルタワーなどで、日系企業が入居しているのはおよそ5件に集約できる。その他に、長屋に似たプテアロベーン(フラット)と呼ばれる住宅の一室や、一軒家をオフィスとして賃貸している企業もある。

 デポジット(保証金)は1~3か月が一般的である。CBREのスコット氏は、「オフィススペースの値段は全体として上がってきています。例えばプノンペンタワーが2011年にオープンした当初、その値段は14.5ドル/㎡ほどでした。また、2013年は大きなオフィススペースの供給が無く不足していました。2014年は新しいオフィススペースもいくつかでき、プノンペンタワーは4.5ドルのサービス料別で22ドル/㎡ほどになっています。ヴァタナックキャピタルタワーは5ドルのサービス料別で、28~38ドル/㎡です。現状から見ればこれらの相場はまだ変動すると思います」と語る。

 オフィスビルを賃貸する場合、駐車場が確保されているかどうかは注意すべきである。有名なオフィスビルでさえ駐車場不足により、オフィス周辺に別途借りなければならない場合がある。

 レオパレス21の小林氏は、「業種・業態によって、オフィスをステイタスとして捉えるケースもあれば、固定費という面で捉えるケースもありますので、何をメインに考えるかで選択する物件も変わるわけですが、いずれにせよ平米単価が平均相場かどうかという点や、水回りなどその物件を実際に入居した際の使い心地、接客に適したものであるかどうかなどを考慮して選定することとなるでしょう」と述べている。

■ 商業物件の賃貸 Renting of commercial space

 消費者関連ビジネスの場合、業種や目的により賃貸に適するエリアは相違するが、周囲環境の目まぐるしい変化により、町の動線の変化を予想することは難しい。欧米系外国人クライアントを多く持つインディペンデント・プロパティ・サービス(IPS)のデイビット・マーフィー氏は、「ニッチビジネスの場合、多少中心から外れてもその独自なサービスを求めて人は動きます。そのため中心一等地でなくてもボンケンコン(BBK3)、トゥールトンポン(TTP)でも良いでしょう。5分、10分をかけてでもお客様が訪れるからです。しかし一般的な小売やサービス業ならボンケンコン1やリバーサイド、あるいは隣接する地区にいる必要があります。そこに全てが集まっているからです。まずは自社の目的と、その業種の中心地区がどこであるのかを理解すること。なぜならカンボジアの場合は業種によって地区別に集約される現象が多くみられるからです」と言う。

 入居に際して改装費用が多額な場合は、予算やデポジット、契約期間などを勘案して契約することが肝要となる。また、良い物件はすぐに賃貸市場から無くなるため、スピードも重要だ。IPSのマーフィー氏は、「近年は多くの物件の契約年数上限が5年に引き下げられました。例えば改装などで多額をかける場合、5年という期間は決して長いとは言えません。回収するのに10年かかるかもしれませんし、もしそうだとしたらそのような契約が可能な物件の選択肢はかなり狭くなります。それらすべてを勘案したうえで選びます。特にプノンペンでは希望の全てを満たすものは少ないかもしれません。希望のように利用できるか、契約条件やデポジットは納得できるものか、改装中はレントフリーにできるか。もし答えがイエスならすぐ契約するべきです。プノンペンの不動産業界の流れはとても速く、特にNGOなど国外の関係機関での調整に時間がかかる団体でよく見られるのが、全ての審査を通るころにはその該当物件が無いことがよくあります。物件の契約に関してはスピードが重要ですね」とアドバイスした。
(034 カンボジアの不動産③へ続く)


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