2014年6月8日
(前編からの続き)
―― 薬剤師と医師の役割の違いは何でしょうか?
チア・ビラック(以下、チア) 薬剤師は医師と違って診断や処方を行うことができません。それは法律で明確に定められているからです。処方箋が無いと販売できない薬もあるのですが、カンボジアでは、そのような薬でも処方箋なしで販売している店がほとんどです。
ウェスタン・ファーマーシーでは、もし薬剤師の範疇を超える相談が来た場合には、病院の診察を薦めています。薬剤師に対しては診断を行わないように話をしています。薬剤師がやっているのは、症状を診るだけではなく、その原因などを深く聞くこと。それを踏まえて処方箋のいらない薬をお渡しすることです。
将来、きちんとした対応ができない薬局には人が行かないようになるのではないでしょうか。きちんと相談に乗ったうえで薬をお渡しすることが必要だと思います。
医薬業界に関する法律は十分に整備されていると思いますが、その執行を管理する者が足りておらず、法律通り運用されていないのが現状です。保健省のスタッフは頑張っていますが、人数が少ないのです。
―― 他の薬局では行っていない取り組みなどはありますか?
チア ウェスタン・ファーマシーでは、お客様に血圧測定を無料で行っています。これをやっているのは、私たちは患者教育が必要だと考えるからです。お客様ご自身で自分の健康管理を行ってもらう。どうやって適切に機器を使うかなどを、スタッフが患者に丁寧にご説明します。予防は治療に勝る。そのためにもお客様には適切な習慣を付けて欲しいと思っています。
―― カンボジアで医薬分野で進出する上でのアドバイスはありますか。
チア まず、薬局の運営としては、適切なサプライヤーを見つけることが大変です。多くの製品・機器を日本から輸入する必要があります。次に、スキルのあるスタッフを採用すること。今は基礎教育が整ってきているので、近い将来、スキルのあるスタッフがもっと増えていくでしょう。
製薬企業の場合は、言語やコミュニケーション。次に、流通の問題があります。許認可取得も大変ですし、日本語の書類をすべて英語に翻訳する必要もあります。また、文化の違いも大きく、カンボジアに関する知識を持っていることが必要です。
しかし、カンボジアに来ることを恐れないで欲しいですね。私たちは、品質の高い製品がカンボジアにやってくることを待っています。いずれにしても、進出する際には適切なパートナーを選ぶことが一番重要です。(取材日/2015年3月)