私達はそれまでいた法律事務所から独立し、5人のパートナーと30人のアソシエイトとで新しい事務所を始めました。そして、カンボジア、ベトナム、インドネシアと立て続けにサービスを広げました。ラオス、ミャンマーにもその直後に進出しています。これらの地域では、クライアントがしっかりとした法律コンサルを必要としていました。
競合との違いは、私達はより実践的であるということです。クライアントが望んでいるのは、法律の参照だけではなく、より実践的なサポートです。ですから、私達は書面による調査やアドバイスに限らず仕事を行ってきました。求められていたのはそのような普通のサービスではなく、まったく違ったやり方でした。それまでの法律事務所のコンセプトは、この地域には合っていなく、私達はどのようなやり方がよりよいのか考える必要がありました。伝統的なやり方では、立ちいかなかったのです。
クライアントが来るのを待って、法律に関する質問に答え、小さな調査書を渡し、法律はこうですよと助言して、あとは幸運を祈るだけ、そして請求ですね。こんなやり方では、市場の問題を解決することは出来ませんでした。より踏み込んだ手法が必要でした。
例えば、具体的な税金に関する業務。私達が税金に対する専門家をおいている理由でもありますが、輸入に関しては大きな問題になります。法律によればこうですよ、というのは簡単ですが、実際には、どうやって、いくらぐらいで、いつ、どの省庁とやりとりすべきかといったような、実践的な知識が必要とされるのです。これがVDB Loiに税務やコンプライアンス、金融に関する専門家がいる理由です。
もし、事業に関するライセンスが必要であれば、政府に対して申請を行わなくてはなりません。これはラオスやミャンマーも同じですが、この申請には多くの実務が伴います。ですから、いろいろな分野に精通した法律家や会計士がいる法律事務所、会計事務所を頼る必要があるのです。VDB Loiのパートナーには色々な分野の専門家が集まっています。私は法律の専門家ですが、LoiはPWCで働いていた公認会計士です。
カンボジアは、投資家に対してとても開かれています。土地関係以外については、所有権に関しても制限は少ないです。しかし、ここにも現実との乖離が見られます。実際には非常に制限もあります。カンボジアでビジネスを成功させようと思ったら、いくつもの課題に取り組まなくてはなりません。
例えば、透明性、雇用、土地の問題です。これらはビジネスをやる上で非常に大きな問題になります。ですから、カンボジアは開かれているように感じるかもしれませんが、多くの注意を払い、どのように経営をしていくかをよく考えなくてはなりません。そのために私達がいるのです。
日系企業の皆さんにアドバイスをするとすれば、カンボジアで始めるビジネスの詳細をしっかりと分析するべきだということです。徹底的に具体的に詳細に分析してください。どこから仕入れ、誰に対して売るのか、価格はどうするのか、競合はどうなのか、従業員の取り扱い方をどうするのか。
これらを全て書き出し、分析することで、どこが問題で、どこに注力するべきなのか、進出の前に見えてくると思います。よく考えるというのは簡単ですが、カンボジアの場合、考えるべきは法律に関することだけでなく、実務のオペレーションレベルまで考える必要があります。