2016年3月16日
私はトライアンフリンクの執行役員であり、アドバンスドグローリーロジスティクスの創設者でもあります。アドバンスド社はアジア地域の輸出入を主に手がけるトライアンフリンクのグループ会社です。トライアンフリンクは2008年に設立され米国に2支店、香港に1支店、中国に5支店があり、主に米国を中心とした衣類や靴の輸出入を手掛けています。
私たちは夫婦2人とも物流会社に数年勤め、その後に起業を決めましたが最初の数年は苦労しました。今では従業員も30人以上いますがここまで築きあげるのに10年以上かかりました。元々2004年にアドバンスド社を開設し、トライアンフ社の代理店を務めていたのですが2008年にトライアンフ社より支店開設のお話がありカンボジア法人を立ち上げた次第です。
我が社は米国、香港、中国に重きを置いた物流会社であり現在は日系市場も開拓中です。米国、香港、中国とここカンボジアに支店があります。その中でも現在は米国向けの衣類や靴の輸出が主となっています。
カンボジアは現在国際物流会社の参入が相次いでいます。ローカル企業も物流に乗り出すところが増えています。そんな中、我が社は薄利多売ではなく、サービスを重視し差別化を図っています。我が社は現在400社ほどの顧客企業を持っていますが日系企業のシェアを獲得するのは難しいです。日系企業は価格重視のフォワーダーを探していることが多いですし、日系の会社を選ぶことが多いのが現実です。原因のひとつに語学力の問題があるのも事実です。
低価格のロジスティクス会社は税金面の順守をしていない場合が多く、見積もりは安くても後に税金が課せられ高くつくこともあります。我が社は初めからきちんと税金面も順守していますので当初の価格は高く感じられることも多いようです。
現在カンボジアは変化の真っただ中です。政府も賄賂で通すのが難しくなってきていますし、商人も個人ビジネスから会社という経営体に移りつつあります。今後近い将来賄賂のないクリーンな取引ができるようになると考えています。賄賂は我が社にとっても重大な問題です。
コンプライアンスを順守しなければ安く上げることもできますが、順守すればするほど高くつくという現実があるのも事実で、様々な課題があります。しかし政府の課税行政はかなり変わってきており、最近はほとんど汚職もないと思います。MOCも汚職を排除するためにオンライン手続きに移行しており、その他の部署も少しずつ変わってきています。今後改善されることで市場の活性化につながるのではないかと期待しています。
日系企業がカンボジアで競争力を上げるためには参入分野を選ぶことが重要です。日系企業は人件費も他に比べて高いですし、カンボジアの市場は特殊なので、これらの事情に関して知識が得にくい状況のまま日系企業が参入することは難しいです。ただ日系の製造業は信頼できるフォワーダーを使いたがることが多く地元企業は入りにくいので、ターゲットを明確にすればチャンスはあるのではないでしょうか。我が社でも日本人担当者を一人雇用しており今後の展開次第では増員も考えています。
我が社は国内外で400社の顧客がありますし、現在日系企業へ拡大するべく働きかけています。先進国は市場が安定していますが、カンボジアは発展途上でありまだまだ伸びしろがあり、近年日系投資も増えている今がチャンスだと言えると思います。物流会社を選ぶ時はその会社の構成やカンボジアでの評判を調べるだけではなく、課税制度にどこまでコンプライアンスを守っているかを調査する必要があります。順守していない会社を選ぶと後に問題になる場合があるからです。