2017年1月4日
(前回の続き)
――言語能力ごとの平均賃金について教えてください
ケビン・ブリテン(以下、ブリテン) 弊社の調査に基づきますが、300ドル以上が英語をよく理解でき、英語でビジネスができる人材です。300ドル未満の人材は、ビジネスの機能の1つともいえるメールや電話を、英語を勉強していたとしても満足なレベルではできないということです。英語の訓練もできるというのなら雇ってもいいと思いますが、即戦力が欲しいならばこれより上のレベルの人材がいいでしょう。
しかし、例えば200ドルの人材を雇ってデジタルマーケティングについて職業訓練を行ったとします。その人材はやがてフェイスブックやSNSを運営し、広告マーケティングも行うようになったとしましょう。その人材の給与を上げず、引き留めたうえで能力に対する報酬を払わなければ、その人材を結局は失うことになるでしょうね。良い人材は競合他社が取っていってしまいますよ。
―― 英語以外の言語人材についてはどうでしょうか
ブリテン 韓国語やマンダリンで仕事のできる人もいます。マンダリンで仕事ができるカンボジア人というのはカンボジア人とも仕事ができて、英語もよく理解できるので、非常に需要があります。この3言語で仕事ができれば、良い報酬を得られるでしょう。日本人も同じで、英語で仕事ができて、しかも日本人を相手にしてもメールや電話、資料などの仕事がきちんとできる人材は明日にでも職を紹介できます。日本人市場はカンボジアでは大きくありませんが、多くのジャパンデスクがあるのですから、需要はあります。
―― 日本人投資家・起業家にコメントをお願いします
ブリテン 労働法の本を必ずオフィスに置き、読んで、順守しましょう。これに従う会社は生産的な良い人材を雇えるし、会社も良い方向に進みます。持っていない会社の将来は長くないでしょう。
発展においてとても重要なことは、全ての会社が同じ法律に基づいて平等かつフェアに行動し、競争することだと思います。しかし、多くの人が法律を無視するという選択肢を取っています。この国では、公務員も自分のところの法律を知らないことがあります。私たちには労働法や税法など多くの法律がありますが、それに従えば従うほど明るい未来が待っているというのは、自明で論理的なことです。
(取材日2016年7月)