2017年7月5日
(前回の続き)
――早くて正確なニュースが他との違いを生み出しているのでしょうか
カイ・キムソン(以下、カイ) 正確で、真実を伝え、そして速さを大切にする。素早くウェブサイトに掲載する。私たちは物事の表面をなぞるだけではなく、記事内容の裏付けなど何度もチェックを重ねます。
現在インターネット上には多くの興味関心を惹くニュースがあって、他にも様々なニュースサイトで見ることができますが、プノンペンポストからニュースが出た段階ではじめて読者は「正しいニュースだ」と認識するようです。我々は偽のニュースを読者に与えて嘘をつきたくはないので、ニュースの正確性を高め、良いニュースを提供する事に多くの費用を費やします。また敷居が高く、コストがかかり、危険性を伴うような取材調査は多くのニュースサイトはやりたがりません。
しかし正確なニュースは様々な分析の材料となります。英字新聞ではカンボジア国内の正確なニュースを発信していますが、日本人投資家はその情報信頼して投資の判断材料として使っています。そのような部分で他のニュースとプノンペンポストの違いを生み出すことができると考えています。
――カンボジアの報道に関する制限について教えてください
カイ まずカンボジアにおいては、いずれかの政党、企業、組織に属しているメディアは、必ず属する政党、企業、組織の意見に従って偏った報道を行わざるを得ない状況にあります。そういった部分でプノンペンポストの持つ独立紙としての特性は重要だと思います。
またカンボジアには情報規制があり、これまでは政府の持つ公的な情報を得るためには政府の承認が必要でした。現在情報省はメディアに開示すべき公的な情報を共有する情報公開法という法律に取り組んでいますので、私たちはメディアとしてより簡易でより良い情報が得られるのではないかと期待しています。全てのカンボジア人が政府内でどういったことが行われているか知る権利を認めているのです。
例えば、政府が1年間でどのくらいの歳入があったのかを知りたいと思えば、基本的にはその情報を入手することができるようになります。専門的な理由から情報に関しては制限が設けられますがそのことで賛成派・反対派での議論が行われています。
――プノンペンポストの今後の展開をどうお考えでしょうか
カイ 紙媒体を維持し続け、クメール語でより多くの良い記事を提供することです。英字新聞は今後も続けますが、これからはプノンペンポストクメールに対してPRや投資を行っていきたいと考えています。
今後のデジタル化がさらに進んでいくことを見越し、これからはより多くの動画コンテンツをニュースメディアとして制作・発信していく予定です。なぜなら携帯通信環境が大幅に上がっていて、スマートフォンを通して動画をみる機会が確実に増えていくからです。現在のウェブサイトも現在、スマートフォンで自動的に見やすくなるようリニューアルを行っています。これからは、新聞紙、インターネットニュース、動画配信の3つのプラットフォームでニュースや情報を発信していく予定です。
デジタル化は素晴らしいことですが、今後もただ速いだけではなく、様々な仕事や投資の判断材料になるような正確で信頼性の高いニュースや情報を発信していきたいと考えています。(取材日/2017年1月)