2016年9月12日
―――自己紹介と、御社の特長を教えてください
本庄谷由紀(以下、本庄谷) 私は2015年10月にカンボジアに赴任して半年が過ぎたところです。その前は弊社のベトナム・ホーチミン事務所に約3年おりました。旅行が好きで、赴任後にカンボジア国内ではモンドルキリ、シハヌークビルを初めて訪れましたが、どちらもとても魅力的な場所で、必ずまた行こうと決めました。
I-GLOCALカンボジア事務所は、2010年4月に設立した際は、カンボジアで最初の日系会計事務所でした。現在まで、おかげさまで多くのお客さまにご愛顧いただいています。カンボジアはさまざまな法令やシステムの整備が途上にある国ですが、お客さまの税務リスクを最小化できるようなご助言やご支援に努めています。また、弊社は税務調査対応支援を多く経験しておりますが、カンボジアは税務調査で追徴課税が決定された場合の延滞税や罰金が高額となるため、月次や年次の申告を保守的に行うことが一番の節税になると考えています。
―――最近、税務を取り巻く環境について特筆すべきことや、進出する日系企業が留意すべき点などありますか
本庄谷 カンボジアは外資規制が少なく進出が容易と言われています。そんな中で、2016年から適用される税制改正のなかでも特に影響が大きいのは、これまで個人事業に主に適用されていた推定納税方式(Estimated Regime)が廃止された点だと思います。2016年度からは売上金額による納税区分が適用され、一般的な法人同様に申告納税方式(Real Regime)に基づいて月次申告および年次確定申告が必要となります。この情報のアップデートをせずに進出を決定されたりすることのないよう、ご注意いただければと思います。
―――多国との違いはなんでしょうか
本庄谷 日本から進出される場合で一番驚かれるのが、最低税制度だと思います。単純化してご説明すると、カンボジアの法人税率は20%ですが、収益の1%と比較して高いほうを納税すると定められているため、赤字であっても少なくとも収益の1%を納税しなければなりません。
―――会計事務所の活用方法、良い会計事務所の見つけ方はなんでしょうか
本庄谷 これは会計事務所に限らずですが、ぜひ当地で事務所を訪問いただき面談をなさった上で、サービス内容や問合せ事項への対応のご確認はもちろん、ご本社の社風やご自身との相性が良いとお感じになった先とお付合いいただくのが一番良いのではと思います。会計事務所は税務署の手先ではありませんので(笑)、ぜひざっくばらんにご相談いただきたいですし、そうしていただけるようなご助言を心がけています。(取材日/2016年4月)