2015年6月19日
――まず、ソイさんの自己紹介とDAPニュースセンターについて教えてください。
ソイ・ソピーア(以下、ソイ) 私は現在、DAPニュースセンターのニュースダイレクターを務めています。高校卒業後は、タイでレポーターの勉強をしました。カンボジアに帰った後は、自分のスキルアップのために、アメリカがサポートしている勉強会に出席したり、ベトナム、ラオス、ミャンマーにも出向いてメディアの教育を受けながら、有名新聞社やラジオ会社で15年ほど働き、経験を積みました。
DAPニュースセンターは、2006年から新聞を発行し、従業員10人からスタートしました。今はウェブでニュースを配信していて、従業員も100人まで増えていて、メディアとしては9年ほど経ったところです。プノンペンTODAYや、Fresh Newsという新しい媒体も提供していますが、私たちの人気の理由は早さと信頼度だと思います。インターナショナル・ディベロップメントという賞を、2011、2012年と2度連続で受賞することができ、これにより、さらに信頼して頂けるようになりましたし、新たなビジネスにも繋がっていきました。
――カンボジアにおけるメディアの現状について教えてください。
ソイ メディアを取り巻く環境は以前よりも良くなったと感じます。例えば、政府批判などでも報道できるようになりましたね。そして、メディア関連で働くスタッフのレベルも向上しました。もしかすると、カンボジアは東南アジアで一番言論の自由があるのではないでしょうか。
私たちの場合は、国際的な水準に追いつくことを目指して、日々向上する努力をしています。まだまだ不足している点はありますが、シンガポールやマレーシアから学んだりしています。全体的にみて、パソコンができる人が増えましたね。これまではニュースの配信スピードが遅かったのですが、色んなメディアが、ITテクノロジーを駆使して、配信スピードを競っています。
ニュースが早いほど、新鮮な情報を伝えられますから、メディア自身が頑張っていけます。こうした競争意識を継続して持ち続けることが大事なのでしょう。今のカンボジアのメディアマーケットは、ニュースがパワーを持っているのです。最近は、ニュースがメインの番組構成になっている新しいチャンネルやコンテンツが増えています。ニュースが人気になることで、ビジネスに繋がっていくのです。
――何か、業界の問題点などはありますか?
ソイ カンボジアのメディアマーケットは幅広い反面、そこで働く人材とのバランスが悪いと感じます。まず、業界全般的に給料が低いことがあげられます。メディアで働くことについての社会的地位が低いため、人気もありません。ですから、この仕事が好きな人以外はやれないのです。ポルポト時代以降、ゼロからのスタートでしたので、カンボジアのメディアはこれからです。このような課題の解決には、一企業の努力には限界がありますから、政府や外国からの人材教育におけるサポートが不可欠なのではないでしょうか。(後編に続く)(取材日/2015年3月)