2015年7月23日
1年前だとブラウンコーヒーなどがトレンドとして生まれてきた時期です。今はスタイルが多様化しており、経済発展と共にカンボジア人の感覚も進んできた、変わってきたと思います。ブラウンコーヒーのような空間の使い方や内装が定着してきましたので、私には次を模索しているように映っています。わずか1年や1年半の間で次のステージに上がる段階に入ってきたのではないでしょうか。
例えば、カフェ業界で言えば、アメリカではサードウェーブという、よりコーヒーの味に拘ったものが流行ってきているところですが、カンボジアで言えば、ブラウンコーヒー等はセカンドウェーブの段階です。カフェでは言えば、世界は味という本質の部分を追求している流れですが、カンボジアはそこまでは行っていません。
中国が世界の最先端を導入して技術発展のスピードを加速させることができた分、日本などと違い技術の発展経過を経験していないのは、途上国としての特徴ですので、カンボジアにも同じことが言えます。技術だけでなく、内装やデザインの趣向という点でも進歩・変化が加速していると言えるかもしれませんが、あくまで表層的なものです。心の豊かさといったような、精神的な部分が大人になっていかないと着いてこれない本質的なものとのギャップが出ているのではないでしょうか。
お金をかければ良いものができるのは当たり前ですが、回収年数を考えると何でもかんでもお金をかけるわけにはいかないので、メリハリが必要です。特に日系のレストランの内装はメリハリなく、全てにお金をかけ過ぎる傾向があるために、かえって敷居を高くさせてカンボジア人が入りづらいという悪循環を起こしている場合はあると思います。評価される場所とされない場所がありますので、上手くやらないとビジネスにならないでしょう。肩の力の抜き方加減がわきまえる上で、趣向の変化のスピード感など、現地の空気を感じれる業者にやってもらうのが良いでしょう。
ターゲットに合わせた内装にするのは大事ですが、ターゲットそのものもブレれて行くこともあり、提供する商品と内装とのバランスが崩れてくることもあります。
建築の場合で言えば、重工業が発展していないカンボジアでは、そもそもスチールがカンボジアには無いです。外国から仕入れないと使えません。それだけでかなり高くつきます。建材がほとんどありません。カンボジアにある建材だけで作ることは大変なので、何かは輸入するしかありませんが、そういった事情の認識や、建材の選択のさじ加減が大事です。中国と同じように安く建てられるだろうという甘い考えを持った方が多いです。予定されている予算よりもかかることが多いのは、中国のような感覚でコスト計算しているからです。
大部分の発注者は先ほどのような理由から、実際にかかる費用よりも安く予算を見積もっていますし、また、その額で請け負ってしまう工事会社もあります。しかし、そのような工事業者は途中から資金の不足分を次々と請求されるなど、どのような対応をとるかの判断を場当たり的に求められますから、結果的に高くなることもあるでしょう。余裕のある予算のなかで計画的に工事する場合と比較したら、ボロボロの状態で工事が進捗していくわけです。
周囲の人に聞いて評判などの情報を収集して、工事会社は信用できるところに依頼しなければなりません。いくつかの工事会社に見積もりを依頼すると思いますが、内容にはバラつきがあります。各社とも大雑把に見積もってくると思いますが、工事に対して深いところもまで読みきれていない工事会社もあります。読み具合を知るためには、それぞれヒアリングしなければなりませんが、普通の方には難しいかもしれません。
私が見ていて、ボスやマネージャーが外国人という会社は結構多いのですが、金額は高いですが、ちゃんとした成果を出すレベルです。カンボジア人は工程管理ができません。目先のことからやってします。順序だててやることが苦手ですので、二度手間、三度手間なことをするので、外国人が見ていなければなりません。
雨季には建築の足元の工事はしにくいので、そこに計算してスケジュールを立てるということを忘れがちです。雨季にどうしても差し掛かるようであれば、それなりの対応をしなければなりません。日本にいながらでは、そのような感覚がわからないので、そもそも、そういった情報を基に工程を考えていないこともあります。工事の開始時期が数ヶ月ずれるだけで、費用が大きく変わることがあります。
全て、事前の情報の収集が大事です。(取材日/2015年3月)