アジア開発銀行（ADB）は、2024年のカンボジアの経済成長率を5.8％、2025年には6.0％と予測しているが、今年のインフレ率予測を2.0％から0.5％に下方修正した。この修正は、食料価格の上昇が予想よりも緩やかで、2024年上半期の燃料価格が下落したことによるものである。
ADBカンボジア担当国長によれば、製造業、特に衣類、履物、旅行用品（GFT）の輸出が経済成長を牽引しており、農業と観光業も回復傾向にある。また、外国直接投資の流入も経済の勢いを支えている。
インフレ率の低下は、燃料関連の価格や肥料コストの減少により、農業生産を支えるものであり、特に脆弱な層にとっては生活の負担が軽減されると予想される。2024年上半期のGFT輸出は前年同期比16.9％増加し、輸出全体における重要性が増している。
農業部門は2024年に1.2％、2025年には1.3％の成長が予測されており、サービス業は2024年に5.4％の成長が見込まれている。観光業は2024年上半期に前年比22.7％増加し、コロナ前の水準にほぼ戻りつつある。
一方で、主要経済国である中国、欧州、アメリカの成長鈍化や、プライベートデットの増加、気候変動の影響などがリスク要因として指摘されている。
カンボジアの社会経済研究者のチェイ・テッチ(Chey Tech)氏は、「観光業の回復や強力な製造業、低インフレが今後の成長を支えている」と述べ、「経済の多様化、インフラ整備、気候変動対策、人材育成、そしてガバナンスの強化がカンボジアの経済成長に必要な戦略である」と提案している。
